The previous night of the world revolution4~I.D.~

「あらルルシー。ルヴィアさんが心配ですか」

「そりゃ心配だよ…」

あいつ昨日、大変だったもんな。

イワシになろうとしたり、犬になろうとしたり。

あのままじゃあいつ、マジで人語喋るのやめて、犬語で返事しそうなんだもん。

俺の有能な部下が犬になったら、それはそれは困る。

しかし。

「心配要りませんよ~。あの夫婦なら」

何でルレイアはこんなに楽観的なんだよ。

ってか、ルヴィアがあんな風になったのは、お前の責任でもあるんだからな?

自分が煽りに煽ったこと分かってるか?

「あいつ、あのままじゃ本当に飼い犬になって、華弦の家の庭に住み着きかねないぞ」

「でも、よく考えたら華弦さんの家、マンションですよ?」

あ。

「ふっ。室内犬ですね」

やめてやれ。

「やっぱり心配だから、ちょっとルヴィアのところに…」

顔を出してみよう、と立ち上がった、そのとき。

「ルルシーさんおはようございます!」

「えっ…あ…ルヴィア?」

噂をすれば、俺の執務室にやって来たのはルヴィア。

あれ?ルヴィアお前…。

「あっ、ルレイアさんもいたんですね。おはようございます」

「えぇ、おはようございます」

「ルルシーさんこれ、ルルシーさんの印鑑が要る書類です。明日までにお願いしますね」

ルヴィアは、爽やかに書類の束をデスクに置いた。

なんか…。

元気一杯…なんだけど。

「…あのさ、ルヴィア?」

「はい、何ですか?」

「…元気か?」

「はい!すこぶる元気ですよ」

…元気らしい。

いや、元気なのは良いことなんだけど…。

昨日と比べたら、まるで別人。

そして、何よりも。

「その…首に巻いてる、カラフルなマフラーは何…?」

ルヴィアはその日、パステルカラーの毛糸で編まれた、もっこもこのマフラーを巻いていた。

しかも、普通の既製品にはない、複雑な布の形状をしている。

何それ。マフラー…だよな?

するとルヴィアは目を輝かせて、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに身を乗り出してきた。

「これはですね!嫁が!嫁が俺に編んでくれたマフラーなんです」

「え、あ、そう…」

ちょ、唾。唾飛んでるから。

あと、そんなに嫁を強調しなくても聞こえてるから。

「嫁がお義姉さんから教わった、シェルドニア編みのマフラーなんですよ。昨日デートから帰った後に、プレゼントしてくれたんです」

「で、デート?行ったのか?」

「はい!昨日の水族館に!」

声でかい。耳割れる。

成程、シェルドニア編み。それで不思議な色と形をしてるんだな。

あの後、また水族館行ったのか。ルヴィアは。

しかも、今度は嫁を連れて。

ルヴィアが元気になった理由は分かったが…。