The previous night of the world revolution4~I.D.~

「…それは…」

言いたくないのか、口ごもるルヴィアの代わりに。

黙ってれば良いものを、ルレイアが、

「どうせ嫁を華弦さんに盗られたんでしょ。おおかた、今頃仲良し姉妹は、女の子限定スイーツビュッフェか何かで、きゃっきゃうふふしてるんじゃないですか?」

「…!」

まるで見てきたかのように推理するルレイアに、ルヴィアは電流に打たれたようにびくん、として、

それから、ぶるぶると震え始めた。

…図星なのかよ。

「捨ててきた夫のことなんて忘れて、姉妹水入らずで楽しんでるんでしょうねぇ。これはもう『今日から姉と暮らすので、別居します』と言われるのも時間のもんだ、もごもごもご」

「ルレイア、ちょっと黙ってような…!」

ルヴィアの死体に、ずぶずぶナイフ刺してるのと変わらない。

ルレイアの口を塞いだものの、時は既に遅く。

ルヴィアはぶるぶると震え、こう呟いた。

「…俺なんて、水槽で死ぬのもおこがましい。ドブで溺れ死んできます」

「落ち着けルヴィア。死ぬな」

さっきから、何で生きるか死ぬかなんだ。

これは、予想以上に傷は深いぞ。

こうなったら、まずは余計なこと製造器のルレイアを黙らせなくては。

「…よし、ルレイア」

「はい、何ですか」

一時的ではあるが、ルレイアを黙らせる方法はある。

俺はポケットから飴玉を取り出し、ルレイアの口に押し込んだ。

ルレイアは目をキラキラさせて、飴玉に夢中。

別に飴が好きな訳じゃない。俺が食べさせてくれるのが嬉しいのだ。

これでしばらく黙るな。

今のうち。

「良いかルヴィア、落ち着くんだ。お前が死んでも誰も喜ばんぞ」

「うぅ…。フューニャ…」

「結局…嫁は、華弦と出掛けたのか?」

「はい…。スイーツビュッフェに…」

ルレイアの推理、ドンピシャじゃないか。

まさか行き先まで合ってるとは。

「嫁がいないなら…何で一人で水族館になんか来たんだ…?」

余計惨めな思いをするだけだろう。

周りはカップルだらけなんだし…。

しかし、ルヴィアは。

「あぁ…はい、家に一人でいたら、なんか嫁の幻影が見え始めたので、一緒に水族館行こうかと思って」

お前、もう病院へ行け。

「でもいざ到着して、本物のカップル達を見たら、途端に幻影が消えてしまって…」

現実を直視させられた訳だな。

「仕方なく一人で魚を眺めてたら、魚の顔が全部嫁の顔に見え始めてきたところだったんです」

やっぱり病院行け。

重症にもほどがあるぞ。

「ルルシーさん達に話しかけてもらって、ようやく正気に戻りました。ありがとうございます」

「全然正気には見えないが…。助かったのなら良かったよ」

このままじゃこいつ、本当に水槽に入ってイワシの群れと一緒に泳ぎかねないところだった。