The previous night of the world revolution4~I.D.~

「ルルシー朝ですよ~!グッモーニン!素敵な水族館日和ですね~」

「…」

…なんか、うるせぇ。

昼間うるせぇんだから、夢の中でくらいは静かに過ごしたいってのに。

あいつ、夢の中にまで出てくるのかよ…。本当悪魔だな…。

頭の隅っこでそんなことを考えながら、俺は眠気に身を任せて微睡みを揺蕩っていた。

…の、だが。

「…あら、起きないつもりですねルルシー…。なら仕方ない」

部屋の中のフェロモン指数が、一気に急上昇した。

「…睡姦ってのも楽しそうですねぇ、うふふ」

「はぁぁぁっ!?」

身の危険を感じて、俺は飛び起きた。

「…あら。おはようございますルルシー 」

「る、ルレイア…」

夢の中かと思ったら、現実だ。

現実に、目の前にルレイアがいる。

ここ俺の家だぞ。何でいるんだこいつは。

「…もう少し寝ててくれても良かったんだけどなぁ…」

なんか呟いてる。

お前、何を考えてるんだ。

俺は何をされるところだったんだ。

物凄いピンチを回避したような気がするぞ。

「…お前、何しに来たんだ」

俺は毛布を蹴り飛ばして、上半身を起こした。

みっともない寝間着姿だが、ルレイア相手なら気にすることはない。

ルレイアも全く気にしていない。

「ルルシーにデートのお誘いをしようかと思って」

「…」

…デートね。

あのな、もうお前が何をしても驚く俺じゃないし、デートの誘いくらいは可愛いもんだと思ってるよ。

でも。

「…せめてメールで誘おうとは思わないのか?」

何で直接家に来るんだよ。

メールで事足りるだろうが。何でいちいち突撃してくるんだ。

「え?そんなのルルシーの寝顔を見たかったからに決まってるじゃないですか」

大変潔くて宜しい。

もう諦めました。

溜め息をついて、俺は立ち上がった。

「…朝飯、パンで良い?」

「え。ルルシー作ってくれるんですか」

「一人分作るのも二人分作るのも、大して変わらないからな」

「わぁい。ルルシー優しい」

ルレイア相手に、餌付けなんてアホらしいと思うかもしれないが。

これが割と効くのだ。俺に対しては素直だからな、こいつは。