The previous night of the world revolution4~I.D.~

最近フューニャは、平日、休日のみならず、俺を置いてお出掛けすることが増えた。

言わずもがな、お義姉さんがルティス帝国にやって来たからだ。

お義姉さんは何かにつけてフューニャを呼び出し、二人でランチをしたり、遊びに行っていた。

フューニャも、お義姉さんがいきなり現れたときには驚いていたし、戸惑ってもいたけれど。

たった一人でも、家族が生き残ってくれていたのが嬉しいらしく、今まで会えなかったぶんを取り戻すかのように、せっせとお義姉さんとお出掛けしていた。

こればかりは、仕方がない。

これまでフューニャは、俺がいない間は、家でポツンと家事だけして過ごすしかなかった。

たまに箱庭帝国の友達、ミルミルと連絡を取り合ってはいるらしいが、それだってしょっちゅうではないし。

会おうと思っても、気軽に会える距離ではない。

従って、昼間フューニャは、家の中で一人ぼっち。

俺が帰ってきても、既に見飽きた冴えない夫が一人帰ってきたからって、何になる。

そこに、突如現れたお姉ちゃんだ。

華弦はまだ準幹部になりたてではあるが、ルレイアさんが見込んだだけあってとても優秀な人材であった。

…もしかしたら、俺よりも。

ルティス帝国とは似ても似つかない、珍しいシェルドニア文化も知っているし。

何より彼女は、フューニャをとても可愛がっていた。

優しくて物知りな実のお姉ちゃんと、

見飽きた顔の家事能力皆無な夫(他人)。

どちらと遊びたいかなんて、そんなの言うまでもない。

同性でないと出来ない話とか、あるだろうし。

仕方ないと分かっている。たった二人の姉妹なんだから…と思えば、俺が我慢しなきゃいけないのは分かっている。

でも。

…心に、隙間風。