The previous night of the world revolution4~I.D.~

しかし、ここまで来たらもう引き返せない。

むしろ今帰ったら、色々気になり過ぎて夜眠れない。

「ルレイア…って言ったよね。君、今彼氏はいるの?」

「いませんよ」

演技の上だと分かっているし、俺はあいつの彼氏になったつもりは全くない。

だからその返事は正しいはずなのに、胃が捩れるような思いがした。

「仕方ないんだルルシー先輩。演技しなきゃならないんだから」

俺の心境を察してか、ルリシヤがそう声をかけてきた。

「…分かってるよ。大丈夫だ」

そもそも俺、あいつの相棒であっても、彼氏ではないから。

「そっか。じゃあフリーなんだね」

「そうなりますね」

うぜぇ。何鼻の下伸ばしてんだ。

ルレイアの隣は俺と決まってんだよ。お前の入り込む余地など、小指一本分もあるものか。

あぁ腹立つ。

「なら、俺が君のパートナーに立候補しても良いよね」

何で断定なんだよ。

一万歩譲って、せめて「良いかな?」と聞け。

「えぇ、喜んで」

笑顔で答えるルレイア。

あの笑顔は偽物だ。分かっている。分かっているけど…。

「ありがとう、ルレイア。…君は逸材になりそうだよ」

あろうことか。

そいつは生意気にそう言って、ルレイアの額にちゅっ、とキスをした。