公園のベンチに、ルレイアと、貴族の嫡子だという若い青年が、二人で座っていた。

何やら、楽しそうに談笑している。

…その様子を、俺達は茂みの陰から眺めていた。

…今更なんだけど。

俺は一体、何をしてんの?

「何喋ってるのかな…。気になる…」

来る前は恥ずかしがっていたシュノだが、いざ来てみると興味津々の様子。

そして、興味津々なのはもう一人。

「早速やることやんのかな!」

目がキラキラしているアリューシャである。

「…ゲスいな、お前…」

「さすがに出会ったその日には無理でしょ。せめて三日くらい…」

「でもルレ公だぜ?」

「今回はハーレムに加えるんじゃなくて、仲良くなってコネを作って、資金提供してもらう契約を結ぶのが目的だからね。要するに恋人営業だよ」

なかなか問題のある発言だが、事実だから否定のしようがない。

これもマフィアの仕事と思えば…。

ルレイアだって、にこやかに談笑してはいるけど、やりたくてやってる訳じゃないだろうからな。

「もしかしてもう濃厚なエロトークしてんのかな?」

「…何でわくわくしてんの?お前…」

…小学生かアリューシャ。

エロトークしてる顔じゃねぇだろあれ。

多分天気の話とかして、親睦を深めてるところだよ。

「もうちょっと近くに行かないと、声聞こえねぇよ」

「でもこれ以上近づいたら、バレちゃうかもしれないわ」

もう既にバレてると思うけどな。

俺達の尾行に気づかないあいつではないだろう。

「会話の内容が気になるだろう?そう思って、二人が腰掛けてるベンチに盗聴器を仕掛けさせてもらった」

ルリシヤが、どやぁ、と小型スピーカーを取り出した。

「うぉぉ!さすがルリ公!」

「準備が良いわね!」

「さすがだよルリシヤ」

「ふふふ。そう褒められると照れるな」

…どや顔してるところ悪いけど、お前のやってること犯罪だからな。

ってか二人の会話なんて聞きたくねぇよ、俺は。

止めたかったが、止める間もなくルリシヤがスピーカーのスイッチを入れた。