「私もしかして…今年…死ぬのかな?」

「だ、大丈夫だシュノ…。それくらいじゃ人間死なないよ」

慰める言葉が見つからない。

かと思ったら。

「うぉっ!すげ!シュー公でっかいメ!だって。なんか良いことありそうじゃね!?」

アリューシャ、ちょっと黙っててくれないか。

誰もがお前みたいに、能天気に生きられる訳じゃないんだよ。

「気にすることないよ。おみくじなんて、信じたいものだけ信じて、信じたくないものは信じなくて良いんだから。お遊びだよ、こんなもの」

と、慰め上手なアイズ。

「うん…」

それでも、新年一発目から大凶のおみくじを引いてしまったショックは、そう簡単には消えないようで。

シュノは、可哀想なくらいしょぼん、としていた。

そんなに落ち込むことなのか…と思って、シュノのおみくじをよく見てみたところ。

全体的に良くないことしか書いてないんだけど、特に恋愛運の欄が酷かった。

要約すると、「希望はない。諦めなさい」みたいなことが書いてあった。

成程、シュノを傷つけたのはあれだな。

なんて罪作りなおみくじだ。

気にするなと言われても、シュノも繊細な乙女。どうしても気にしてしまうだろう。

よし。こうなったら。

「…おいルレイア、お前慰めてやれ」

結局のところ、シュノの恋愛運如何は、全てお前に懸かってるんだ。

慰めてやれるのはルレイアだけだ。

「分かりました。俺がばっちりと慰めてあげましょう…。シュノさん!一緒にホテルに行きましょう。嫌なことを全て忘れて、心も身体も慰めてあげますからね」

「馬鹿。そういう意味じゃねぇ!」

しまった。こいつの辞書に書いてある「慰める」は、一般人とは別物なんだった!

言葉とか!態度とかで慰めてやれって意味だよ!

誰がやることやって慰めろと言った!

しかし。

「…!うんっ…!ありがとうルレイア…」

あれ?元気出てる?

シュノ。お前はそれで良いのか。

「シュノ先輩を一瞬で元気に…。さすがだな、ルレイア先輩。俺も見習わなくては…」

「見習うな」

頼むからこいつだけは見習うな。

一人だけでも充分厄介なのに、二世が現れて堪るか。

「そんな訳で、俺達は元旦からちょっとホテルでちょめちょめしてくるので、ここで解散で」

「あぁ。またなルレイア先輩、シュノ先輩」

「さっ、行きましょうねシュノさん」

「うんっ…」

にこにことルレイアと歩き去るシュノ。見送るルリシヤ。

おいおいそんなのアリか、誰か止めてくれ、とアイズとアリューシャを振り返るも。

「アリューシャ甘酒飲みてぇ!」

「アリューシャ酔っ払っちゃうでしょ。私がもらってくるから、一口だけね?」

「うーい」

…お子様と保護者になってるし。

「…ルリシヤ。お前何とかしてくれよ…」

「何を?ルルシー先輩を?」

「…お前らだよ…」

元旦からこんなわっちゃわちゃして、そりゃ確かに俺達の日常だろと言われれば、そうだけどさ。

今年がどんな年になるのか、不安に襲われるよ。全く。