お参りが済んでから。

「何かお願い事したのか?ルレイア」

「俺?何も。神も仏も信じてませんし」

身も蓋もないな、お前は。

何故そんな奴が初詣に行こうと言い出したのか。

世間がやってることを、自分もやってみたかったのだろうか。

「まぁ…。俺達は皆そうかもな」

マフィアだからな。そもそも。

神も仏も信じてないから、今こうして生きていられるのだろう。

「それよりルルシー。おみくじ引きましょうよ」

「ん?おみくじ…?お前、神も仏も信じちゃいないんじゃなかったのか」

「神も仏も信じちゃいませんが、でもおみくじは信じるのが乙女ってもんですよ。ねーシュノさん」

「うんっ…」

にこにこのシュノ。

都合の良い乙女だな。ったく。

「じゃあ皆でおみくじ引こうか」

「アリューシャ大吉が良い!」

「大吉当たると良いね~」

こういうところのおみくじって、あんまり凶とか大凶は出ないイメージがあるが…。どうなんだろう。

別に大吉じゃなくて良いから、せめて小吉くらいは出たら良いな。

と、思いながら100円を払い、おみくじをもらう。

結果は。

「あ…末吉…」

…微妙…。

小吉と比べたら…どうなの?小吉と末吉ってどっちが上なんだ?

「ルレイア…お前どうだった?」

「お、大吉ですよ俺。見てください」

ルレイアは、嬉しそうに自分のおみくじを見せてきた。

こいつは…。また妙なところで運の良い奴だ。

「凄いなルレイア先輩。俺は中吉だ」

ルリシヤは中吉らしい。

「しかも恋愛運、今年は急上昇の予感あり、ですって!うふふ。今年こそゴールイン不可避ですねこれは!」

あれーこのおみくじ全然信用ならないな。

よし。末吉でも気にすまい。

「アイズは…?どうだった?」

「私も中吉だね」

アイズもルリシヤと同じ、中吉か…。

で、残る二人は?

「アリューシャは?」

「…?何だこの漢字…。アリューシャ読めん!め、って書いてある!」

め?

「どれどれ、見せてごらんアリューシャ…。あぁ、凶だね」

片仮名の「メ」ってことか。

「凶!?何それ!もしかして大吉より上!?やったー!」

アリューシャほど頭おめでたくなれたら、幸せだな。

もうそう思わせとけば良いような気がする。

「アリューシャ。凶はあんまり良くないよ。吉より下だからね」

「下なの!?今下ってことは、これからどんどん良くなるってことじゃん!やったー!」

ポジティブにも程がある。

アリューシャの場合、大凶だろうが最凶だろうが、全然気にしなさそうだな。

「シュノさんは?どうでした?」

「…うん…」

半泣きのシュノ。

何となく察したが、おみくじを見せてもらうと。

…およそおめでたい雰囲気に似つかわしくない二文字。

大凶。

…本当にあるんだな、って思った。ごめん。