The previous night of the world revolution4~I.D.~

「…」

「…ん~…。ルルシ~…」

「…」

横を見ると、ルレイアが俺の腕を抱き枕代わりにして、むにゃむにゃ言っていた。

…この野郎…。手を出す一歩手前じゃないか。

ルレイアを押し退け、起き上がって周りを見ると。

幹部組が雑魚寝状態で、アイズは壁にもたれたままアリューシャの横で眠っており、シュノはルレイアの横で寝息を立てていた。

アリューシャは当然爆睡である。

人の家でよくあんなに眠れるな、あいつは。

で、ルレイアは。

「あぁルルシー…。そこは…そこ触っちゃらめぇ…」

物凄く気色悪い寝言を呟いてる。

叩き起こして良いかな。

「…ん?」

改めてリビングを見渡してみるも、ルリシヤの姿が見当たらない。

…あいつ、何処行ったんだ?

まさかと思って、立ち上がってキッチンに入ると、そこに。

「ルルシー先輩じゃないか。早起きだな」

「お前…」

案の定、ルリシヤは一人でキッチンに立っていた。

…まだ、朝の六時だぞ。

年明けてから寝たはずなんだけど。こいつ何時に起きたんだ?

「…何やってんの?」

「お雑煮を作ってるんだ」

お雑煮ってお前…。

そんなに準備が必要なものでもないだろうに。

「角餅、丸餅、すまし汁、赤味噌味、白味噌味各種取り揃えておいた。これで好みが割れたとしても対応出来るぞ」

「…!?」

「ルルシー先輩は何派だ?」

「え、いや俺は…」

別に何でも良いけど…。

「お前、そんなに準備したのか…」

「あぁ。赤味噌はちょっと辛め、白味噌は甘めに仕上げてみたぞ。何ならルリシヤ特製ブレンド合わせ味噌味もあるが」

「…お前、味噌から作ってんの?」

「そうだが」

もう多才とかそういう話じゃないよそれ。

いつか野菜から育て始めそうだなこいつ。

「なんか…。色々作らせて悪いな…」

俺の家なのにさ。

「気にするな。趣味みたいなものだから」

平然として、ルリシヤは鍋を掻き回していた。

…もしかしたら、『セント・ニュクス』にいた頃も…小さい子達に、こうして作ってあげてたのかもな。

何だかんだと、幹部組でアイズに次ぐ面倒見の良さを備えているのは、ルリシヤなのかもしれない。