The previous night of the world revolution4~I.D.~

「…ルレイア」

アシュトーリアさんからの突然の呼び出し。

これはただ事ではないと、急いで本部に駆けつけたのが馬鹿らしい。

文句の一つも言ってやりたいところだが、にこにことオーナメントを差し出す、ルレイアの顔を見ていると。

…なんか、怒るのが馬鹿馬鹿しくなってくるよな。

「はいっ、ルルシーも飾り付けしましょ?オーナメントどうぞ」

差し出すルレイアのオーナメントは、形は星やベルなど見慣れたオーソドックスなものなのに。

…色だけが、真っ黒。

星もベルもハートもキャンディも、ぜーんぶ真っ黒。

「…」

…凄い素朴な疑問なんだけどさ。

…何で黒?

よく見たら、アリューシャがてっぺんに飾ろうとわくわくしてる星も、真っ黒なんだけど。

アリューシャ、お前はそれで良いのか。

「普通さ…クリスマスと言えば…赤とか緑とか…」

「やっぱり黒ですよね~。緑のツリー。黒の星!黒のオーナメント!これぞクリスマスツリーですよね」

「うん。ルレイア素敵…!」

「さすがルレイア先輩だな」

…駄目だこりゃ。

しかも。

「…ルリシヤ。お前何飾ってるんだ」

「ん?何と言われても…仮面だが」

ルリシヤは、しれっと黒い仮面をオーナメント代わりにツリーに飾っていた。

「格好良いだろう?」

「いや…クリスマスツリーに仮面飾るってお前…」

何でそんなもの飾るんだ。普通仮面なんて飾らないだろう。

と、思ったが。

「シュノさん、これ良いでしょ?黒いリボンと黒薔薇」

「うん、可愛い。私飾っても良い?」

「勿論ですよ~」

シュノはルレイアと仲良く飾り付け。

シュノの、この嬉しそうな顔。

駄目だ。シュノは普段は真面目だし、常識の通じる子なのだが。

ルレイアが絡むと、途端に頭がちょっとお馬鹿になってしまうのだ。

…で、こっちの親子は。

「アイ公、ビスケット飾ってもえぇ?」

「ビスケットだと、ぶつかると割れちゃうから、こっちのキャンディにしようね。ビスケットはアリューシャがおやつに食べて良いよ」

「やったー。ビスケット~」

…こっちも駄目だ。

せめてアシュトーリアさんが何とか言ってくれれば…と思ったが。

「うふふ。皆楽しそうで良かったわ」

微笑ましそうに眺めているだけ。

…まぁ、そうだよなぁ。

これで止めてくれる人なら、そもそもクリスマスツリーなんて用意しないよ。

俺は全てを諦め、ルレイアが差し出すオーナメントを受け取った。