The previous night of the world revolution4~I.D.~

「はぁ…はぁ…」

観測史上最速か、というくらいの速さで本部に到着した俺は、急いでエントランスに駆け込んだ。

ルレイア、無事でいてく、

「…あら、ルルシー。随分早かったのね」

「…へ?」

エントランスに入るなり、飛び込んできた巨大な「それ」に、俺は目を見張った。

…何なんだ、これは。

そして、この呑気な顔をしたアシュトーリアさん。

いつも俺達にお茶とお菓子を振る舞うときのような、穏やかそのものの表情である。

殺意が滲まんばかりに険しい顔をしている訳ではないのだから、それは良かったのだが…。

更に。

「しかし、凄いな。ルレイア先輩のオーナメント、全部黒じゃないか」

「うっふふ~。特注ですよ特注。良いでしょう?」

「さすがルレイア。格好良い…!」

…ルレイア、いた。

めちゃくちゃ無事。全然大丈夫そう。

ルリシヤもシュノも無事だ。

じゃあアイズレンシアか。それともアリューシャ、

「アイ公!アリューシャ、てっぺんの星やる。てっぺんの星アリューシャが飾るからな!」

「はいはい、脚立持ってきたからね。最後に飾ろうね」

「やったぜ!」

…アイズとアリューシャも元気じゃん。

むしろアリューシャなんて元気過ぎてうるさいくらい。

何なんだ、この状況。

分からない。分かりたいけど分からない。分かりたくない。

「あ、アシュトーリアさん…。これは…一体何なんですか…」

「あら、見ての通りよ?クリスマスツリー」

…クリスマスツリー。

…だよね。俺の認識が間違ってなかったら…俺の目の前にある、この巨大な物体は…クリスマスツリーだ。

…何で本部のエントランスに、こんなものが置いてあるんだ?

数時間前までなかったじゃん。

「つい二時間ほど前に届いてね、折角だから皆で飾り付けしようと思って、ルルシーも呼んだのよ」

うふふ、と朗らかに笑うアシュトーリアさん。

…と言うことは、別に敵組織に奇襲されたとか、傘下組織が襲撃されたとか、そういうことじゃないんだな?

単に、クリスマスツリーを皆で飾り付けたいから、すぐに来い、と呼びつけたと。

…なんっ…だ、それ…。

俺は、思いっきり脱力した。