「…あうあうあ~…」

「…」

「…ふぇぇぇん、ルルシー…」

「…何だよ。引っ付くなよいちいち」

酷いわルルシー。俺がこんなに悲しんでいるのに。

慰めてもくれないなんて。

「酷いんですよシュノさん。ルルシーが俺を慰めてくれないんです。それどころか触るななんて!酷いと思いません!?」

シュノさんに泣きつくと、シュノさんはハッとして、そしてルルシーをきっ、と睨んだ。

「ルルシー!それは酷いと思うわ。女の子が泣いてるのに、慰めてあげないなんて!」

「…あのな、シュノ。冷静に考えてみろ。こいつ、女の子じゃないから」

もうルルシーったら。そういう本当のことを言わなくて良いから。

するとルルシーの代わりに、アイズがこう尋ねてくれた。

「どうしたのルレイア。何かあったの?」

「ルレ公、ハーレム会員に逃げられたのか?」

「まさか。俺のハーレム会員は、俺が逃げても地獄の果てまで追ってくるように躾けてますよ」

「…悪魔だなお前…」

えへん。

「じゃあルレイア先輩は、何に落ち込んでるんだ?」

首を傾げるルリシヤ。

実は君のせいなんだとは気づいていないようだな。

よし、もうちょっと引っ張ろう。

「え~んルルシー、慰めて~」

「何だよ鬱陶しいな…」

「鬱陶しい!?俺がこんなに悲しんでるのに、ルルシーは心配じゃないんですか!?俺だったらルルシーが悲しんでたら、身も心も慰めてあげますけどね!何なら今から『お手本』を…」

「やめろ。分かった、分かったよ。慰めるから」

ちっ。駄目か。

惜しかったな。

「で?何があったんだ?何でめそめそ言ってんだ」

「あのねルルシー…。…俺、大変なことに気付いたんです」

「…大変なこと…?」

そう。とっても大変なこと。

今回のシェルドニア王国を廻る騒動について。

この騒動自体も大変だったけど、それ以上に。

よくよく振り返ってみたら。

「…今回のシェルドニア騒動…よく考えたら、俺じゃなくて…ルリシヤが主人公なのでは?」

「……………は?」

これは、非常に由々しき事態だ。