「…ルルシー」
「…」
「…大丈夫ですか?」
帰り道、俺は敢えて沈黙を破り、ルルシーにそう尋ねた。
「…あの子な、あれだけ金やっても…。無駄だよ。きっとまた同じことをする…。結局貧民街なんてものがなくならない限り、ああいう人間は後を絶たないんだ」
ルルシーは、大丈夫かどうかは答えなかった。
彼の頭の中にあるのは、先程の少女のこと。
そして、俺達を襲ったゴロツキたちのことだ。
「…でしょうね」
俺だって、あんなはした金で彼女の人生を救えるなどとは思っていない。
あんなものは一時的な救済でしかなく、渡したお金が尽きれば、彼女はまた身体を売りながら生きていくことになる。
そしてそういう仕事は、様々なリスクを伴う。
いつ殺されてもおかしくない。変な病気を移されてもおかしくない。
それどころか、渡したお金を他の人間に狙われて、逆にあの金のせいで、あの子を殺してしまいかねない。
それは分かってる。
分かってはいるけど…。
…ああいう子達を助けるのは、俺達の仕事ではない。
それは帝国騎士団の仕事だ。
俺達の仕事は、ああいう弱者から搾り取ること。
所詮俺達は、闇の側の人間だ。
「…大丈夫ですか、ルルシー」
俺は改めて、そう聞いた。
故郷巡りなんて、しなければ良かったかもしれない。
それじゃ、ルルシーを余計に傷つけただけ…。
「…大丈夫だよ、ルレイア」
「…本当に?」
「本当に。ルレイアがいてくれたからな」
…あら。嬉しいことを言ってくれる。
「これで悪夢、終わりますかね?」
「さぁ…。少なくとも、納得は出来た。自分の過去と向き合って」
過去と…向き合う…か。
なんか格好良いこと言ってるようで、本当に意味のある行為だったのかは分からない。
過去と向き合おうが逃げようが、要するに自分が過去と折り合いをつけられるか、だからな。
これで悪夢が終われば良いが…。
「ルレイアこそ、これで悪夢は終わりそうか?」
「どうでしょうねぇ…。終わってくれたら良いですけど…」
なんかまた余計リアルな夢を見てしまいそうな気がするな。
でも。
「でもルルシーが一緒なので、大丈夫です」
「…そうか。同感だよ」
見るべきものは見た。
向き合うべきものとは向き合った。
それでも悪夢を見てしまうのなら、それはもうどうしようもない。
「…俺の地獄に、ルルシーがいてくれて良かった」
「…」
「…大丈夫ですか?」
帰り道、俺は敢えて沈黙を破り、ルルシーにそう尋ねた。
「…あの子な、あれだけ金やっても…。無駄だよ。きっとまた同じことをする…。結局貧民街なんてものがなくならない限り、ああいう人間は後を絶たないんだ」
ルルシーは、大丈夫かどうかは答えなかった。
彼の頭の中にあるのは、先程の少女のこと。
そして、俺達を襲ったゴロツキたちのことだ。
「…でしょうね」
俺だって、あんなはした金で彼女の人生を救えるなどとは思っていない。
あんなものは一時的な救済でしかなく、渡したお金が尽きれば、彼女はまた身体を売りながら生きていくことになる。
そしてそういう仕事は、様々なリスクを伴う。
いつ殺されてもおかしくない。変な病気を移されてもおかしくない。
それどころか、渡したお金を他の人間に狙われて、逆にあの金のせいで、あの子を殺してしまいかねない。
それは分かってる。
分かってはいるけど…。
…ああいう子達を助けるのは、俺達の仕事ではない。
それは帝国騎士団の仕事だ。
俺達の仕事は、ああいう弱者から搾り取ること。
所詮俺達は、闇の側の人間だ。
「…大丈夫ですか、ルルシー」
俺は改めて、そう聞いた。
故郷巡りなんて、しなければ良かったかもしれない。
それじゃ、ルルシーを余計に傷つけただけ…。
「…大丈夫だよ、ルレイア」
「…本当に?」
「本当に。ルレイアがいてくれたからな」
…あら。嬉しいことを言ってくれる。
「これで悪夢、終わりますかね?」
「さぁ…。少なくとも、納得は出来た。自分の過去と向き合って」
過去と…向き合う…か。
なんか格好良いこと言ってるようで、本当に意味のある行為だったのかは分からない。
過去と向き合おうが逃げようが、要するに自分が過去と折り合いをつけられるか、だからな。
これで悪夢が終われば良いが…。
「ルレイアこそ、これで悪夢は終わりそうか?」
「どうでしょうねぇ…。終わってくれたら良いですけど…」
なんかまた余計リアルな夢を見てしまいそうな気がするな。
でも。
「でもルルシーが一緒なので、大丈夫です」
「…そうか。同感だよ」
見るべきものは見た。
向き合うべきものとは向き合った。
それでも悪夢を見てしまうのなら、それはもうどうしようもない。
「…俺の地獄に、ルルシーがいてくれて良かった」


