しばし、貧民街を歩いてから。
「…帰るか、そろそろ」
「…もう良いんですか?」
「あぁ。もう満足だ」
…それなら良いけど。
長くいて、またさっきみたいなゴロツキの皆さんに襲われても嫌だし…。
「じゃあ、帰り…」
ましょうか、と言おうとした、そのとき。
十歳前後くらいの薄汚い格好をした少女が、俺の服の裾を引っ張った。
…あ?
追い剥ぎかと思ったが、しかし。
「…何か?お嬢さん」
「…私を買ってください」
…ほう。
ルルシーが、露骨に顔をしかめた。
成程。まだ…そういうことをやって生きている子が、ここにはいるってことだ。
俺達の格好を見て、こいつらは金回りが良さそうだと判断したらしい。
まだあどけなさを残す目で、こちらを見上げる少女に、俺は腰を曲げて視線を合わせた。
「こんにちは、お嬢さん。個人的にはあなたと遊んであげても良いんですが、俺はロリコンではないので、あなたとは無理ですねぇ」
いくらなんでも、十歳前後じゃ幼過ぎる。
まぁ、この場所では、その歳で身体を売って稼ぐのは、珍しいことではないのかもしれない。
かつてルルシーがそうだったように。
「俺と遊びたいなら、あと十年くらいたって、あなたが美人に育った頃に遊びましょう。これは前渡しですよ」
そう言って、俺は彼女の手に、持っている限りの現金を渡した。
「…!こんなに…?」
「精々美人に育ってくださいね。俺のハーレム会員に入れるように」
「あ…ありがとうございます」
恐らく生まれて初めて見る札束の厚さに、少女は狼狽えながらも、頭を下げた。
「…さぁルルシー、戻りましょう」
「…あぁ」
間違いなく、ルルシーは少女と過去の自分を重ねてしまったに違いない。
傷ついていなければ良いが…。
「…帰るか、そろそろ」
「…もう良いんですか?」
「あぁ。もう満足だ」
…それなら良いけど。
長くいて、またさっきみたいなゴロツキの皆さんに襲われても嫌だし…。
「じゃあ、帰り…」
ましょうか、と言おうとした、そのとき。
十歳前後くらいの薄汚い格好をした少女が、俺の服の裾を引っ張った。
…あ?
追い剥ぎかと思ったが、しかし。
「…何か?お嬢さん」
「…私を買ってください」
…ほう。
ルルシーが、露骨に顔をしかめた。
成程。まだ…そういうことをやって生きている子が、ここにはいるってことだ。
俺達の格好を見て、こいつらは金回りが良さそうだと判断したらしい。
まだあどけなさを残す目で、こちらを見上げる少女に、俺は腰を曲げて視線を合わせた。
「こんにちは、お嬢さん。個人的にはあなたと遊んであげても良いんですが、俺はロリコンではないので、あなたとは無理ですねぇ」
いくらなんでも、十歳前後じゃ幼過ぎる。
まぁ、この場所では、その歳で身体を売って稼ぐのは、珍しいことではないのかもしれない。
かつてルルシーがそうだったように。
「俺と遊びたいなら、あと十年くらいたって、あなたが美人に育った頃に遊びましょう。これは前渡しですよ」
そう言って、俺は彼女の手に、持っている限りの現金を渡した。
「…!こんなに…?」
「精々美人に育ってくださいね。俺のハーレム会員に入れるように」
「あ…ありがとうございます」
恐らく生まれて初めて見る札束の厚さに、少女は狼狽えながらも、頭を下げた。
「…さぁルルシー、戻りましょう」
「…あぁ」
間違いなく、ルルシーは少女と過去の自分を重ねてしまったに違いない。
傷ついていなければ良いが…。


