「本職」の殺気がどういうものか、ようやく理解したらしく。
彼らは一瞬で青ざめて、一歩、二歩、と後退り。
蜘蛛の子を散らしたように逃げていった。
おーおー、逃げ足だけは速いって奴だな。
「いやぁ、初々しくって良いですね~」
「大人げない奴だよ、お前は…」
え。ちょっとルルシー。何それ。
俺ほど大人げに満ちた大人はいないよ。
大体マフィアに喧嘩を売るのが悪いんだよ。
「ところでルルシー、ルルシーが暮らしてたのはどの辺です?」
「さぁ…。色々転々としてたから、特に決めてた訳じゃないんだが…」
確かルルシーは、この貧民街で色々と…後ろ暗いことをしてたんだったな。
思い出したくない思い出だろうが…。
「…懐かしいな…」
ルルシーはぽつりとそう言って、汚い路地裏を歩いていった。
俺はその後ろをついていった。
ここがルルシーの過ごした場所なのだと思うと、親近感が沸くと言うか…。
「良い思い出なんかないけど…。でも、嫌でも思い出すもんだな」
「…」
「…改めて自分が、汚いことやって生き延びたんだと再確認したよ」
「…それはあなたのせいじゃありませんよ」
汚いことやって生き延びた?
それの何が悪い。汚かろうが醜かろうが、死んだらそれで終わりなんだ。
「汚いことしてでも、ルルシーが生きててくれたから、俺は今生きてるんですよ」
ルルシーがあのとき俺を助けてくれていなかったら。
今の俺はいなかった。
生きてさえいなかったんじゃないか。
「そうか…。生きてる価値なんてない、ろくでもない人間だと思ってたが…。お前を助けられたなら、生きてて良かったのかもな」
「…そうですよ。あなた、俺がそんなこと言ったら超怒るでしょうに。自分は言うんですね」
「そりゃお前が言ったら怒るに決まってるだろうが」
理不尽。
「じゃああなたが言っても俺が怒りますよ。もう言わないでください」
「…分かったよ。悪かった」
俺達のせいで失われた命があるのは確かだが。
俺達のお陰で助かった命があるのも事実。
そしてルルシーのお陰で俺が救われたのも、紛れもない事実なのだ。
彼らは一瞬で青ざめて、一歩、二歩、と後退り。
蜘蛛の子を散らしたように逃げていった。
おーおー、逃げ足だけは速いって奴だな。
「いやぁ、初々しくって良いですね~」
「大人げない奴だよ、お前は…」
え。ちょっとルルシー。何それ。
俺ほど大人げに満ちた大人はいないよ。
大体マフィアに喧嘩を売るのが悪いんだよ。
「ところでルルシー、ルルシーが暮らしてたのはどの辺です?」
「さぁ…。色々転々としてたから、特に決めてた訳じゃないんだが…」
確かルルシーは、この貧民街で色々と…後ろ暗いことをしてたんだったな。
思い出したくない思い出だろうが…。
「…懐かしいな…」
ルルシーはぽつりとそう言って、汚い路地裏を歩いていった。
俺はその後ろをついていった。
ここがルルシーの過ごした場所なのだと思うと、親近感が沸くと言うか…。
「良い思い出なんかないけど…。でも、嫌でも思い出すもんだな」
「…」
「…改めて自分が、汚いことやって生き延びたんだと再確認したよ」
「…それはあなたのせいじゃありませんよ」
汚いことやって生き延びた?
それの何が悪い。汚かろうが醜かろうが、死んだらそれで終わりなんだ。
「汚いことしてでも、ルルシーが生きててくれたから、俺は今生きてるんですよ」
ルルシーがあのとき俺を助けてくれていなかったら。
今の俺はいなかった。
生きてさえいなかったんじゃないか。
「そうか…。生きてる価値なんてない、ろくでもない人間だと思ってたが…。お前を助けられたなら、生きてて良かったのかもな」
「…そうですよ。あなた、俺がそんなこと言ったら超怒るでしょうに。自分は言うんですね」
「そりゃお前が言ったら怒るに決まってるだろうが」
理不尽。
「じゃああなたが言っても俺が怒りますよ。もう言わないでください」
「…分かったよ。悪かった」
俺達のせいで失われた命があるのは確かだが。
俺達のお陰で助かった命があるのも事実。
そしてルルシーのお陰で俺が救われたのも、紛れもない事実なのだ。


