「…そういや、ルルシーの母親は、まだ生きてるんですか?」
そこに向かいながら、俺はルルシーにそう尋ねてみた。
「さぁ…。知らない。アパートが取り壊されてるってことは、何処かに引っ越したんだろうけど…」
何処で何をしているのかは知らないと。
そもそも生きているかどうかも分からないと。
俺にとっては婚約者の母親だし、会ってみたいとは思うが…。
ルルシーの話を聞く限り、俺の母親に負けないくらい最低のクズだそうだし、会わない方が身の為なのかもしれない。
「もしルルシーが母親をぶん殴ってやりたいと思うなら、俺が探しますよ」
いかなる手段を使ってでも、ルルシー母の行方を探してみせよう。
探して、引っ張ってルルシーの前に連れて来させるのだ。
あとは煮るなり焼くなり、ルルシーが好きにすれば良い。
しかし。
「別に探さなくて良いよ。会いたくもないしな」
「…そうですか」
なら、余計なお節介はやめておこう。
「それより…。もうすぐだぞ、孤児院」
さすがのルルシーも、少し緊張しているようだった。
それもそうだろう。
ルルシーが闇の方に堕ちたのは、恐らく、この孤児院がきっかけ。
ルルシーにとっての、悪夢の根元。
それが、この孤児院…なのだろうけど。
「…」
「…お化け屋敷…みたいになってますね」
「…そうだな」
そこにあるのは、廃墟だった。
ホラー映画にでも出てきそうな廃墟。
もう何年も使われていないのだろう。窓ガラスは割れ、木造の屋根は所々朽ちて崩落し、穴が空いていた。
庭も先程のアパート同様、雑草まみれ。
不法投棄されているらしく、ガラス瓶や古雑誌が山になっていた。
何年も人が住んでいないのは明らかだった。
こちらも残っていないか…。でも、少なくとも孤児院の方は、建物の残骸くらいは残ってるな。
「…」
ルルシーは、廃墟となった第二の実家をじっと眺めていた。
…今どんな気持ちなんだろう。ルルシーは。
俺が先程、帝国騎士官学校の廊下を歩いていたときとは…また違う気持ちなんだろうな。
そこに向かいながら、俺はルルシーにそう尋ねてみた。
「さぁ…。知らない。アパートが取り壊されてるってことは、何処かに引っ越したんだろうけど…」
何処で何をしているのかは知らないと。
そもそも生きているかどうかも分からないと。
俺にとっては婚約者の母親だし、会ってみたいとは思うが…。
ルルシーの話を聞く限り、俺の母親に負けないくらい最低のクズだそうだし、会わない方が身の為なのかもしれない。
「もしルルシーが母親をぶん殴ってやりたいと思うなら、俺が探しますよ」
いかなる手段を使ってでも、ルルシー母の行方を探してみせよう。
探して、引っ張ってルルシーの前に連れて来させるのだ。
あとは煮るなり焼くなり、ルルシーが好きにすれば良い。
しかし。
「別に探さなくて良いよ。会いたくもないしな」
「…そうですか」
なら、余計なお節介はやめておこう。
「それより…。もうすぐだぞ、孤児院」
さすがのルルシーも、少し緊張しているようだった。
それもそうだろう。
ルルシーが闇の方に堕ちたのは、恐らく、この孤児院がきっかけ。
ルルシーにとっての、悪夢の根元。
それが、この孤児院…なのだろうけど。
「…」
「…お化け屋敷…みたいになってますね」
「…そうだな」
そこにあるのは、廃墟だった。
ホラー映画にでも出てきそうな廃墟。
もう何年も使われていないのだろう。窓ガラスは割れ、木造の屋根は所々朽ちて崩落し、穴が空いていた。
庭も先程のアパート同様、雑草まみれ。
不法投棄されているらしく、ガラス瓶や古雑誌が山になっていた。
何年も人が住んでいないのは明らかだった。
こちらも残っていないか…。でも、少なくとも孤児院の方は、建物の残骸くらいは残ってるな。
「…」
ルルシーは、廃墟となった第二の実家をじっと眺めていた。
…今どんな気持ちなんだろう。ルルシーは。
俺が先程、帝国騎士官学校の廊下を歩いていたときとは…また違う気持ちなんだろうな。


