The previous night of the world revolution4~I.D.~

帝国騎士官学校を出てから。

「さて、次はルルシーの故郷に向かいましょうか」

「…あ?」

何だよ。あ?って。

まさかこれで終わりだと思ったのか。

「ルルシーの方も行かなきゃ…。ルルシーの悪夢は晴れないでしょうよ」

そもそも、今日の訪問で本当に悪夢は終わるのだろうか。

俺の自己満足で、実は今夜も変わらず同じ夢を見る、なんてことになるかも。

最悪だな。何の為に来たんだよ。

「それとも、ルルシーはまだ無理です?」

立ち向かう勇気が持てないか。

それはそれで構わない。弱虫な男だ、となじる奴はいないし、そんな奴がいたら俺が首を刈る。

「無理そうならやめておきましょう。わざわざかさぶたひっぺがして、塩を塗る必要はありませんから」

「…いや、行くよ」

ほう。

「良いんですか?」

「かさぶたひっぺがして、塩を塗らなきゃ傷が治らないなら…やむを得んだろう?」

成程。ルルシーは痛い思いをしてでも、傷を治す方を選ぶか。

それもまた良いだろう。

「分かりました。じゃあ…案内してください。それとも俺と一緒に行くのは嫌ですか?」

「お前が一緒でもなきゃ、あんなところには行かないよ」

「なら、ご一緒しましょう」

俺もルルシーも、一人で立ち向かえるほど強い人間じゃないからな。

お互い依存し合うなら、お互いの傷を舐め合うのもまた良いだろう。