The previous night of the world revolution4~I.D.~

「アホですよねー…。俺、こんなものに長年ビビってたんですよ。泣く子も黙る天下無双のルレイア・ティシェリーがですよ」

「…」

「こんなの、ただの部屋じゃないですか。これが怖くて夢にまで見るなんて、全く情けない。ここにはもう俺を苦しめていた奴らはいない。それなのに、俺だけがまだこの場所に囚われてるんですよ。馬鹿みたいじゃないですか?」

「…ルレイア。なぁ、ルレイア」

「何でこんなものが怖かったんでしょう。ねぇ。もう十年以上たってるのに、未だに学校が怖いなんて、ガキじゃないんだから…」

「ルレイア」

ルルシーが、俺の手を掴んだ。

「…お前はよく頑張ったよ、ルレイア」

「…」

「よく頑張った。よく生きて、ここまで来た。それを誇れよ」

…誇るも、何も。

誇る相手がいないよ。

「…行こう、ルレイア。ここを出ていくんだ。もう二度と戻ってこなくて良い」

「…俺は、何処に行けば良いんでしょう。ここを出たら、俺の行く先は何処にあるんでしょうね」

「さぁ、何処だろうな」

ルルシーにも分からないか。

俺も分からないよ。ずっとここにいたから。

ここを出て、何処に行くべきなのか…。

「…ただ一つだけ、はっきり分かることがある」

「ほう、何でしょう?」

「お前が何処に行こうと…俺が、お前の隣にいるよ」

…ほほう。成程。

「…なら、何処に行っても怖くないですね」


















それじゃ、さよなら亡霊達。

闇の中にいれば、また会うこともあるだろう。