The previous night of the world revolution4~I.D.~

「…」

薄く目を開けると、目の前に顔があった。

普通の人なら、この時点で悲鳴をあげるだろうが。

俺は驚かなかったし、悲鳴もあげなかった。

眠っている俺に跨がっているのが、ルレイアだったから。

他の誰かだったら、間違いなく悲鳴をあげていただろうな。

「…ルレイア…」

とうとうこいつ、夜這いという手段に出たか、と一瞬思ったが。

ルレイアほどの「プロ」が、俺の服を脱がせる前に俺を起こすなんて失態を犯すはずがない。

本当に夜這いなら、もう手遅れというところになるまで、俺を寝かせたまま事を進めるはずだ。

では、目的は夜這いではなく、ルリシヤと結託して、また寝室にカメラでも仕掛けに来たか?

それも違う。認めたくはないが、奴らは不法侵入のプロだ。

俺を起こすことなく、寝室のあらゆる場所にカメラを仕掛けて、颯爽と出ていくだろう。

だから、ルレイアが俺のところに来た目的は…。

「ルレイア、お前…」

「…ねぇ、ルルシー」

「…ん?」

「…ルルシーは、俺と出会えて幸せですか?」

ルレイアのまなじりから、一滴の滴が溢れ落ちた。