The previous night of the world revolution4~I.D.~

帝国騎士官学校の教室。

教室には、まだ耐えられる。

耐えられないのは、学生寮だった。

「…くっ…」

教室だと効果が薄いのか、と判断した俺の脳みそは、場面を学生寮に移した。

ワープかよ。夢の中なら何でもアリだな。

学生寮は、教室よりももっとリアルだった。

部屋の片隅に置いてあるゴミ箱の中身まで、ご丁寧に再現してある。

それだけ俺にとって、この学生寮は「思い出深い」のかもしれないな。

反吐が出る。

そして。

「…!」

ルームメイトの先輩達が、憎しみのこもった目で俺ににじり寄ってきた。

そんな目で俺を見る資格が、こいつらにあるものか。

そう言って撥ね付けてやれば良い。被害者みたいな顔をするな。お前達は皆、俺の人生を狂わせた加害者なのだから。

被害者は俺だ。だから怖がる必要はない…。

分かっているのに、俺は耐えられなかった。

寮の部屋を飛び出し、廊下に出た。

すると。

「…今度はあなた達ですか」

廊下で俺を待ち構えていたのは、ランドエルス騎士官学校で一緒だったクラスメイト達だ。

エルスキーやアシベルやミューリア達。

そして、俺が殺したユーシャも。

ミューリアは、ご丁寧に片手がなくなっていた。

当て付けかよ。

ユーシャはともかく、他の奴らは死んでない癖に、何で幽霊みたいになって俺の夢に現れるのだ。

そして何で、俺を親の仇のような目で見るのだ。

「…あなた達に、そんな目で睨まれる覚えはありませんね」

俺がこいつらに何をしたって言うんだ。

「騙される方が悪いんですよ…。こちとらそれが仕事だったんだから…」

…幻相手に、何を言い訳じみたこと言ってんだろうな、俺は。

無視していれば良いのだ。所詮こいつらは俺の脳みそが勝手に作り出した幻なのだから。

まともに相手をする必要なんてない。

ただ目を閉じて、朝になるまで…現実の俺が目を覚ますのを待てば良いのだ。

でも。

「…糞が」

分かっているのに、俺はどうしてもそれが出来なかった。