俺は自分が今、夢の中にいるのだと知っていた。
だから、この建物も、目の前の人間も、全部俺の脳みそが作り出した幻なのだ。
従って、ここにある全ては、全て俺の記憶をもとに作られている。
我ながら、随分と精巧に覚えているものだ、と思った。
机の配置やら、教室の掲示物に至るまで、全てリアルに作られている。
こういうときは、自分の記憶力の良さが恨めしいが…。
まぁ、本当にこの通りだったのかは分からない。覚えていない部分は、俺の脳みそが勝手に「それっぽく」見えるように偽装してるのかもしれない。
掲示物の内容なんて、俺だってさすがに全部は覚えてないだろうからな。
そう、これは幻。何もかもが夢の世界の話。
現実ではない。
俺の現実は、いつだってルルシーだけだ。
怯える必要はないし、怖がるなんて馬鹿らしい。
分かっている。
分かっているのに。
「…毎晩毎晩、よく現れますね…。この亡霊共が」
ぼんやりとした暗闇から、俺をじーっと見つめる人影。
忌々しい帝国騎士官学校の制服を着た、若い男五人。
それに、ぐっちゃぐちゃになった教官の死体。
それらが、俺を憎々しげに睨んでいた。
…この野郎。
「…あなた方に、そんな目をする資格があると思います?」
なぁ。何を勘違いしてるのか知らないが。
「先に俺を闇に堕としたのはあなた達の方でしょう…。俺は堕ちたくはなかったんだ。光の方で生きていくはずだったんだ…」
それを、こいつらが踏みにじったのだ。
俺の人生を、まるで正反対の道に突き落とした。
それなのに、お前達が俺を憎む資格があるとでも?
まぁ、それが悪かったとは言わないがな。
闇に堕ちたからこそ、俺はルレイアでいられる…。だからこいつらには感謝しなきゃならない…のだろうが。
誰が、感謝などしてやるものか。
頭の隅っこに、いつでも。
光の方で生きていたルシファー・ルド・ウィスタリアがいるのだ。
身も心も闇に染まりながらも、まだ光の中に生きている自分がいる。
本来の…俺が生きるはずだった未来を望んでいる自分が。
…糞食らえだ、そんなもん。
「死んでもなお…俺の人生の邪魔をするとは…。良い度胸じゃないですか」
死んでない奴もいるけどな。
何とか、強がる気力はある。
憎しみを向ける彼らを、睨み返すことは出来る。
だが、声は震えていた。
怖がる必要なんてないのに。怯える必要なんてないのに。
それなのに、俺は怖かった。
何が怖いのか、自分でも分からないのだ。
ただ、漠然と怖い。
昔ここにいたときに感じていた恐怖を、俺はリアルに再体験してしまっているのだ。
恐怖の対象が分かっているなら、それを排除してしまえばそれで恐怖は終わり。
でもこの場合、恐怖の対象が分からない。
分からなければ、排除することも出来ないのだ。
ただ、怖い。
何でかは分からないけど…怖くて堪らない。
この恐怖を、俺は知っている。
昔ここにいたとき…毎日のように、絶えず俺の身を焦がしていた恐怖だ。
だから、この建物も、目の前の人間も、全部俺の脳みそが作り出した幻なのだ。
従って、ここにある全ては、全て俺の記憶をもとに作られている。
我ながら、随分と精巧に覚えているものだ、と思った。
机の配置やら、教室の掲示物に至るまで、全てリアルに作られている。
こういうときは、自分の記憶力の良さが恨めしいが…。
まぁ、本当にこの通りだったのかは分からない。覚えていない部分は、俺の脳みそが勝手に「それっぽく」見えるように偽装してるのかもしれない。
掲示物の内容なんて、俺だってさすがに全部は覚えてないだろうからな。
そう、これは幻。何もかもが夢の世界の話。
現実ではない。
俺の現実は、いつだってルルシーだけだ。
怯える必要はないし、怖がるなんて馬鹿らしい。
分かっている。
分かっているのに。
「…毎晩毎晩、よく現れますね…。この亡霊共が」
ぼんやりとした暗闇から、俺をじーっと見つめる人影。
忌々しい帝国騎士官学校の制服を着た、若い男五人。
それに、ぐっちゃぐちゃになった教官の死体。
それらが、俺を憎々しげに睨んでいた。
…この野郎。
「…あなた方に、そんな目をする資格があると思います?」
なぁ。何を勘違いしてるのか知らないが。
「先に俺を闇に堕としたのはあなた達の方でしょう…。俺は堕ちたくはなかったんだ。光の方で生きていくはずだったんだ…」
それを、こいつらが踏みにじったのだ。
俺の人生を、まるで正反対の道に突き落とした。
それなのに、お前達が俺を憎む資格があるとでも?
まぁ、それが悪かったとは言わないがな。
闇に堕ちたからこそ、俺はルレイアでいられる…。だからこいつらには感謝しなきゃならない…のだろうが。
誰が、感謝などしてやるものか。
頭の隅っこに、いつでも。
光の方で生きていたルシファー・ルド・ウィスタリアがいるのだ。
身も心も闇に染まりながらも、まだ光の中に生きている自分がいる。
本来の…俺が生きるはずだった未来を望んでいる自分が。
…糞食らえだ、そんなもん。
「死んでもなお…俺の人生の邪魔をするとは…。良い度胸じゃないですか」
死んでない奴もいるけどな。
何とか、強がる気力はある。
憎しみを向ける彼らを、睨み返すことは出来る。
だが、声は震えていた。
怖がる必要なんてないのに。怯える必要なんてないのに。
それなのに、俺は怖かった。
何が怖いのか、自分でも分からないのだ。
ただ、漠然と怖い。
昔ここにいたときに感じていた恐怖を、俺はリアルに再体験してしまっているのだ。
恐怖の対象が分かっているなら、それを排除してしまえばそれで恐怖は終わり。
でもこの場合、恐怖の対象が分からない。
分からなければ、排除することも出来ないのだ。
ただ、怖い。
何でかは分からないけど…怖くて堪らない。
この恐怖を、俺は知っている。
昔ここにいたとき…毎日のように、絶えず俺の身を焦がしていた恐怖だ。


