The previous night of the world revolution4~I.D.~

我ながら、情けないことこの上ない。

あんな悪夢に、まだうなされるとは。

シェルドニア王国にいた頃も、洗脳が解けてからは、悪夢に悩ませることはなかった。

多分、アシミムへの復讐とかミレド王の暗殺とかで、色々考えなきゃならないことが多かったから。

全部終わってルティス帝国に帰ってきて、ホッと一安心したところで、思い出したかのように悪夢が戻ってきた。

最悪の気分である。

もう『白亜の塔』はないし、薬物も投与されていないのに、何故まだ悪夢にうなされるのか。

恐らく…シェルドニア王国で受けた強い洗脳の後遺症…なのだろうが。

「…あの糞縦ロール…。帰国してからも俺の邪魔をする訳ですか…」

くっそムカつく。

今からシェルドニア行って、やっぱりぶん殴ってこようか。

もう二度と行きたくないけど。あんな糞王国。

「…はぁ…」

「主様…」

…お陰で全然眠れなくて、目の下に出来る隈を、メイクで隠している始末だ。

今のところはなんとか隠せているが、いずれバレるのは目に見えている。

しばらくいつもの日常を過ごせば、悪夢もなくなるだろうと甘く考えていたが。

残念ながら帰国して二月がたっても、まだ戻らない。

このままじゃ、自然に後遺症が治る前にバレてしまうよ。

ルルシーには勿論、ルリシヤに。

あの優秀な後輩であれば、俺がファンデーションの下に巧みに隠した隈を見つけ、色々と察してしまいそうだ。

優秀過ぎるのも考えものだな。

「…あー…。腹立つ…」

縦ロールにも腹が立つが。

何より、自分に腹が立つ。

何でもう帰国してるのに、まだ下らない悪夢に苦しめられなきゃならないのか。

あんな悪夢がいかに馬鹿馬鹿しいものであるか、頭では分かっているのに。

何故あんなものを、怖いと思ってしまうのか。

起きているときは全然怖くない。起きているときに悪夢の内容を、その恐怖を思い出そうとしても、全然思い出さないのだ。

何が怖いんだ?そんなもん。としか思わない。

起きてるときは怖くない。

それなのに、眠っているときは怖くて堪らない。

あんな下らない過去の夢が、うなされるほど怖くなるのだ。

弱い自分に吐き気がする。

悪夢も毎日見てりゃ慣れるだろうと思って、気にせず眠ろうとしたこともあったが。

寝ているときの恐怖というのは、毎日リセットされるのだ。

つまり、毎晩眠る度に新鮮な悪夢を見られるという訳だ。

実に嬉しくないな。

「無理をして眠らない方が…」

「いや、寝ますよ…。ちょっとでも寝とかないと…明日ルルシーにバレるじゃないですか」

ルルシーに余計な心配をかけたくないという、俺の気持ちが分からぬか。

でも、まさか、ここまで治らないとはな。

病院とか行くべきなのか…?もう二度と精神病院なんて行きたくないと思ってたんだが…?

「あぁ、頭痛い…」

薬の副作用だろうか。さっきから頭痛が痛いよ。

「主様…」

「少しでも頑張って寝るんで…。うなされてても起こさないでくださいね」

うなされてようが何だろうが、寝不足よりマシだからな。




…と、思っていたが。