The previous night of the world revolution4~I.D.~

「自分に子供がいたとして!もらって嬉しいものを人にやれ!」

えー。

自分に子供がいたとして?

もらって嬉しいもの?

「俺はゴスロリおくるみもらったら、嬉しいですよ?」

「俺も仮面もらったら嬉しいぞ。しかもオーダーメイドだからなこれ」

「…お前達に、一般常識を求めた俺が悪かったよ」

ルルシーはそう一喝して、それからルアリスに向き直った。

「…済まん、ルアリス…。少なくともこいつらに悪気はないから…」

悪気なんてあるはずないよ。ねぇ?

善意百パーセントに決まってるじゃない。

「えぇ、分かってます…。覚悟はしてましたから…はい…」

あれぇ?ルアリスが遠い目。

きっと、仮面とゴスロリおくるみが嬉しくて堪らないのだろう。そうに違いない。

「うふふ。可愛いですね~チビルアリス。ガキなんて臭いしキモいしうるさいし、何の取り柄もない邪魔なお荷物でしかないから絶滅してしまえば良いのにと思うくらい嫌いだったんですけど、チビルアリスだと思うとそこそこ可愛い、もごもごもご」

「本ッ当…。済まんなルアリス…。躾がなってなくて…」

「いえ…。大丈夫です…」

ルルシーに口を塞がれ、強制的に黙らされてしまった。

何でぇ。俺悪いこと言ってないのに。

「良いなルレイア。黙ってろ。めでたい場なんだから水を差すようなことを言うんじゃない」

「ふぁい。わかりはひたよ~」

分かったからそんなほっぺつねらないで。痛い痛い。

宜しい、と手を離してもらったので。

「…で、ルアリス」

「はい?」

俺は、ずっと聞きたかったことを聞くことにした。

「この子、隠し子と合わせて何人目の子なんです?」

「!?」

俺はただ、聞きたかったことを聞いただけなのに。

ルルシーに、思いっきりほっぺをつねられた。

「あいだだだだ!りゅりゅしーいひゃ~い!」

「余計なことを言うなと言った傍から!お前は!口縫うぞ!」

「らっへ気になるじゃないれしゅか~!」

すると、ルアリスが苦笑気味に答えた。

「あの…。隠し子合わせても一人目です…。いないんで、隠し子…」

「な~んだいないのか。つまんね、…いたたた!らめ~つねらないれ~」

「ごめんなルアリス…。もう連れて帰るよこいつ…」

「いえ、大丈夫です…。ルレイア殿、無事にシェルドニア王国から帰ってきてくれたので…。それで充分ですから…」

あ、そうだ俺シェルドニア帰りなんだった。

忘れてたよ。