The previous night of the world revolution4~I.D.~

おっぱい論争が白熱するかと思われた、そのとき。

「…ん?」

『frontier』の着メロが鳴った。

「…おい、ルリシヤじゃないのか?」

「俺の着メロはベーシュちゃんの歌だから、違うぞ」

「あぁ、俺ですね」

「ルレイアかよ」

俺はルトリア推しだからね。

さて、誰からの電話だろうか。

「はーいもしもし。どなたですか?」

『あ、ルレイア殿…。俺です、ルアリスです』

ルアリスだと?

「誰ですかルアリスって。俺の知り合いにルアリスなんて人はいませんよ」

『は?』

「イタ電ですねこれは。切りますよ」

『えっ、ちょっ…まっ…』

横で聞いていたルルシーに、頭をベシッ、とはたかれた。

痛い。ちょっとしたお茶目なのに。

そんな怒らなくても良いじゃん。

『…あの。箱庭帝国の、革命なんてアホなこと思い付いた、元童貞のルアリスです。思い出してください』

「あ?あぁ…。童貞で思い出しました。そのルアリスですね」

『…思い出してくれたのは良いですけど…。童貞で思い出さないでください…』

だって他にルアリスの特徴って、ある?

一番分かりやすいじゃん。

「丁度良かった、ルアリスさん。シェルドニアから持って帰ってきた証書、来週にもあなたのところに持っていきますから」

シェルドニアから持って帰ってきた証書、とは…無論、シェルドニア王国の、ルティス帝国不可侵条約を記した証書である。

そろそろ落ち着いてきたところだし、箱庭帝国を訪ねようと思っていたのだ。

『そうでしたか。良かった。実は俺も、ルレイア殿を招こうと思っていたんです』

「ほう…?」

『落ち着くまではと思って黙ってたんですけど、実は…』

ルアリスは、照れ臭そうにそう言った。