…しかし。
今月から、食費とお小遣いを大幅に増額しようと提案したところ。
フューニャは、は?みたいな顔をして俺を見つめた。
「…何でですか。もっと豪勢なものを食べさせろと?」
「え?違うよ。だって毎月火の車だって…」
「…?」
「フューニャは粗末なものしか食べてないって」
…あれ?
「…誰が言ったんです?そんなこと」
「え?お義姉さんが…」
「お姉ちゃんが…。あぁ…そういえば先日ランチに誘ってくれたときに、そんな話をしましたね」
家計の話を?
「平日のランチなんて食べに来るのは久し振りですって言ったら、普段は何を食べてるのかと聞くから…」
「…フューニャって、俺がいない間、普段何食べてるの?お昼…」
今まで聞いたことなかったけど。
フューニャは俺と違って料理上手だから、好きなもの作って食べてると思ってた。
「そうですね…。お茶漬けに梅干しとか、卵かけご飯とか…」
「…!?」
「あとは素パスタですかね」
「…済まん、フューニャ!」
俺は、床に膝をついて土下座した。
こんな申し訳ないことをしていたなんて、知らなかった。
お義姉さんが聞いてくれなかったら、一生知らなかったかもしれない。
愚か者め。
「そんなに切羽詰まっていたとも知らず…!やっぱり今月から増額しよう!」
何なら倍にしても良い。
故郷では、ずっと食べ物に苦労していたに違いないフューニャに…二度とひもじい思いはして欲しくないと思っていたのに。
俺はなんということを。
ってか、そんなに足りないなら言ってくれれば良いのに。
別に金に困ってる訳じゃないんだから。
「何をしてるんですかあなたは…?顔を上げてください。別に切羽詰まってなんかいませんよ」
「でも…!お茶漬けとか素パスタしか食べてないって…」
「それは私が面倒臭いからです。あなたがいないのに料理なんて作る気にならないんですよ。私は」
…へ?
「私は別に料理が好きな訳でも、趣味な訳でもありませんよ。あなたが食べると思うから頑張って作ろうと思うだけで…。あなたがいないのに、キッチンに立つのが面倒なだけです」
「…え…。じゃあ、困窮してる訳じゃないの…?」
「してませんよ」
「なら…せめて外食するとか…お惣菜買ってくるとか…」
「そこまでして食べたくないですし…。そんなお金があるなら、良い食材を買ってあなたに食べさせてあげたいです」
「…!」
…フューニャさん。あなた。
うっかり本音を言ってしまったのが恥ずかしかったのか、フューニャはハッとして、それからぷいっとそっぽを向いた。
「…嘘です。別にあなたの為なんかじゃありませんよ。私が食べたいからです」
「フューニャ…」
「…とにかく!別に増額してもらわなくても良いですから。余計な出費です」
この話は終わり、とばかりにフューニャはふいっ、と顔を背けた。
夫婦の危機かと思いきや、嫁のめちゃくちゃ可愛い一面を見てしまって、悶死しそうだが。
それでもお義姉さんに怒られそうなので、やっぱり増額しよう、と思った。
今月から、食費とお小遣いを大幅に増額しようと提案したところ。
フューニャは、は?みたいな顔をして俺を見つめた。
「…何でですか。もっと豪勢なものを食べさせろと?」
「え?違うよ。だって毎月火の車だって…」
「…?」
「フューニャは粗末なものしか食べてないって」
…あれ?
「…誰が言ったんです?そんなこと」
「え?お義姉さんが…」
「お姉ちゃんが…。あぁ…そういえば先日ランチに誘ってくれたときに、そんな話をしましたね」
家計の話を?
「平日のランチなんて食べに来るのは久し振りですって言ったら、普段は何を食べてるのかと聞くから…」
「…フューニャって、俺がいない間、普段何食べてるの?お昼…」
今まで聞いたことなかったけど。
フューニャは俺と違って料理上手だから、好きなもの作って食べてると思ってた。
「そうですね…。お茶漬けに梅干しとか、卵かけご飯とか…」
「…!?」
「あとは素パスタですかね」
「…済まん、フューニャ!」
俺は、床に膝をついて土下座した。
こんな申し訳ないことをしていたなんて、知らなかった。
お義姉さんが聞いてくれなかったら、一生知らなかったかもしれない。
愚か者め。
「そんなに切羽詰まっていたとも知らず…!やっぱり今月から増額しよう!」
何なら倍にしても良い。
故郷では、ずっと食べ物に苦労していたに違いないフューニャに…二度とひもじい思いはして欲しくないと思っていたのに。
俺はなんということを。
ってか、そんなに足りないなら言ってくれれば良いのに。
別に金に困ってる訳じゃないんだから。
「何をしてるんですかあなたは…?顔を上げてください。別に切羽詰まってなんかいませんよ」
「でも…!お茶漬けとか素パスタしか食べてないって…」
「それは私が面倒臭いからです。あなたがいないのに料理なんて作る気にならないんですよ。私は」
…へ?
「私は別に料理が好きな訳でも、趣味な訳でもありませんよ。あなたが食べると思うから頑張って作ろうと思うだけで…。あなたがいないのに、キッチンに立つのが面倒なだけです」
「…え…。じゃあ、困窮してる訳じゃないの…?」
「してませんよ」
「なら…せめて外食するとか…お惣菜買ってくるとか…」
「そこまでして食べたくないですし…。そんなお金があるなら、良い食材を買ってあなたに食べさせてあげたいです」
「…!」
…フューニャさん。あなた。
うっかり本音を言ってしまったのが恥ずかしかったのか、フューニャはハッとして、それからぷいっとそっぽを向いた。
「…嘘です。別にあなたの為なんかじゃありませんよ。私が食べたいからです」
「フューニャ…」
「…とにかく!別に増額してもらわなくても良いですから。余計な出費です」
この話は終わり、とばかりにフューニャはふいっ、と顔を背けた。
夫婦の危機かと思いきや、嫁のめちゃくちゃ可愛い一面を見てしまって、悶死しそうだが。
それでもお義姉さんに怒られそうなので、やっぱり増額しよう、と思った。


