The previous night of the world revolution4~I.D.~

上手くやっているはずなんですけど…と、しどろもどろ先程の説明をお義姉さんにしてみたところ。

「あなた、相場プラス一万円って、それは少ないんじゃないですか?」

「えっ…」

…そうなの?

「でも、特にフューニャから不満は…」

「そりゃ言えないでしょう。やりくり出来なかったから追加でちょうだいなんて。嫁にとっては言いにくいに決まってるでしょう」

…そうなの?

俺、さっきからそうなのしか言ってない。

「あなたの言う相場っていうのは、何処の相場です?」

「それは…その、ネットで調べて…」

「食費 平均」って検索して…。そこで出てきた金額に基づいて…。

それで良いと思ってたんだが。もしかして駄目なのか?

「何を言ってるんですあなたは。相場と言ったって、地方と帝都では話が違うでしょう。帝都では物価が高いんですから、そんな平均当てになりません」

「…!」

確かに。

全然考えなかった。そんなこと。

「それだけじゃありません。あなた、あの子に洋服やお化粧品を買うお金は渡してるんですか?」

「え?それは…はい」

「いくら?」

「いくらと言われましても…そりゃまぁ…一万円くらい…」

実質フューニャのお小遣い、ってところか。

「でも化粧品とか美容院代とかは別に渡してるし…。服は大体、一緒に出掛けたときに買ってあげてるので…」

自分のものは絶対そのお小遣いでやりくりしなさい、という訳ではない。

その辺の縛りは、うちは結構弱い方だと思われる。

フューニャがおやつに食べるチョコも、家計から出してるし。

一万円丸々使わなかったので返します、と突っ返される月もしばしば。

いや、突き返さなくても持ってて良いよ、と受け取らないけど。

増額して欲しい要請もないし、このシステムで問題なしと思っていたが…。

「甘いですよ。あなたね、ちょっと高いものは自分と出掛けたときに買えば良いじゃんとか思ってるでしょう」

「え、あ、はい。それは…」

…そうじゃないの?

俺と一緒に出掛けたときに買えば、フューニャがお小遣いを使う必要はない。

何でも俺が買ってあげてるから。

しかし。

「夫がいる手前、買いにくいものだってあるでしょう。あなた女性モノの下着がいくらするのか知ってます?少し良いものになったら一着で一万円くらいあっという間に飛ぶんですよ」

「…!」

…え。そうなの?

またそうなのって言っちゃった。

女モノの下着の値段なんて、考えたこともなかった。

そういうことを知っている男性は、ルレイアさんくらいかと。

「全く…こんなに理解のない夫と一緒になるなんて。可哀想に、私の妹は…。無自覚な経済DVを受けて、自分のお昼は粗末なものしか食べられず…」

け、経済DVなんて。

そんなつもりは、全く。

「これ以上私の妹が痩せたら、強制的に連れ出しますから。分かりましたね?」

「は、はい…」

夫婦の危機である。

帰ったら、即行、話し合おうと思った。