華弦の方は、顔色一つ変えなかったが。
フューニャは、さすがに驚いたようだった。
きょとんとして華弦を見つめ、それから俺の顔を交互に見て。
臆してしまったのか、すすす、と俺の後ろに隠れた。
そして。
「…ルヴィアさんは、私の顔フェチなんですか?」
と、あるまじき質問をした。
ずっこけるかと思った。
「あのな…。フューニャ、浮気相手じゃないから…」
俺は別に、フューニャと同じ顔をした女の子と浮気した訳じゃないから。
そもそも、フューニャと華弦は全然顔が違うよ。
この期に及んで浮気という発想が出てくるのが凄い。
「じゃあ、この人は…誰なんです?どうして、私にそっくりなんですか?」
「それは…」
非常に…答えづらい質問だが。
すると、俺が答える前に…代わりに、華弦が答えてくれた。
「私はあなたの姉で、華弦と言います。あなたは私を知らないのでしょうが、私は知っています」
「姉…?」
困惑を深めるフューニャ。
誰だって、ある日いきなり自分にそっくりな人が来て、実は私あなたの兄弟なんですよ、と言い出したら…そりゃあびっくりするだろうし、怯えるだろう。
一体こいつ、何言ってるんだ?と思うだろう。
「あなたが私を知らないのは当然です。私はあなたがまだ物心つかない頃に、シェルドニアに奴隷として売られましたから。あの頃、箱庭帝国で奴隷貿易が行われていたことは…あなたも聞いているんじゃないですか?」
「…!」
フューニャは、何かを思い出したかのようにハッとしていた。
どうやら、覚えがあるらしい。
もしかしたら…フューニャの故郷では、そう珍しくもない話なのかもしれないな。
彼女の生まれ故郷が、いかに過酷な環境であったかが窺い知れて…若干、気分が悪くなってしまったが。
華弦は、構わずに話し続けた。
「どうやらその様子だと、やはり両親は私の存在を、あなたには隠していたようですね」
「そんな…」
「でも仕方ありません。当時、あなたと私は天秤にかけられました。そして、秘境の里出身として、呪力に優れていたあなたが両親の手元に残され…無能であった私は、シェルドニアに売られ…奴隷として育ちました」
「…!」
「以後はずっと、私を買った主人のもとで奴隷として仕えていました。今回故あって、奴隷から解放されて戻ってきた訳ですが、あなたが無事に生きてルティス帝国にいると聞いて、あなたの夫の上司を通して、こうして会いに…」
と、言ったところまでが限界だった。
フューニャは怖くなったのか、怯えた目で俺の背中にしがみついた。
その手が震えているのを見て、俺は思わず華弦を制した。
「やめてくれ、もう…。頼むから」
「…」
「…済みません、お義姉様。あの…」
「…別に良いですよ」
怯えきった顔のフューニャを見て、やはり…会わせるべきではなかったのかもしれない、と思った。
フューニャは、さすがに驚いたようだった。
きょとんとして華弦を見つめ、それから俺の顔を交互に見て。
臆してしまったのか、すすす、と俺の後ろに隠れた。
そして。
「…ルヴィアさんは、私の顔フェチなんですか?」
と、あるまじき質問をした。
ずっこけるかと思った。
「あのな…。フューニャ、浮気相手じゃないから…」
俺は別に、フューニャと同じ顔をした女の子と浮気した訳じゃないから。
そもそも、フューニャと華弦は全然顔が違うよ。
この期に及んで浮気という発想が出てくるのが凄い。
「じゃあ、この人は…誰なんです?どうして、私にそっくりなんですか?」
「それは…」
非常に…答えづらい質問だが。
すると、俺が答える前に…代わりに、華弦が答えてくれた。
「私はあなたの姉で、華弦と言います。あなたは私を知らないのでしょうが、私は知っています」
「姉…?」
困惑を深めるフューニャ。
誰だって、ある日いきなり自分にそっくりな人が来て、実は私あなたの兄弟なんですよ、と言い出したら…そりゃあびっくりするだろうし、怯えるだろう。
一体こいつ、何言ってるんだ?と思うだろう。
「あなたが私を知らないのは当然です。私はあなたがまだ物心つかない頃に、シェルドニアに奴隷として売られましたから。あの頃、箱庭帝国で奴隷貿易が行われていたことは…あなたも聞いているんじゃないですか?」
「…!」
フューニャは、何かを思い出したかのようにハッとしていた。
どうやら、覚えがあるらしい。
もしかしたら…フューニャの故郷では、そう珍しくもない話なのかもしれないな。
彼女の生まれ故郷が、いかに過酷な環境であったかが窺い知れて…若干、気分が悪くなってしまったが。
華弦は、構わずに話し続けた。
「どうやらその様子だと、やはり両親は私の存在を、あなたには隠していたようですね」
「そんな…」
「でも仕方ありません。当時、あなたと私は天秤にかけられました。そして、秘境の里出身として、呪力に優れていたあなたが両親の手元に残され…無能であった私は、シェルドニアに売られ…奴隷として育ちました」
「…!」
「以後はずっと、私を買った主人のもとで奴隷として仕えていました。今回故あって、奴隷から解放されて戻ってきた訳ですが、あなたが無事に生きてルティス帝国にいると聞いて、あなたの夫の上司を通して、こうして会いに…」
と、言ったところまでが限界だった。
フューニャは怖くなったのか、怯えた目で俺の背中にしがみついた。
その手が震えているのを見て、俺は思わず華弦を制した。
「やめてくれ、もう…。頼むから」
「…」
「…済みません、お義姉様。あの…」
「…別に良いですよ」
怯えきった顔のフューニャを見て、やはり…会わせるべきではなかったのかもしれない、と思った。


