The previous night of the world revolution4~I.D.~

一時休戦ということで、フューニャは何とか車に乗ってくれたけど。

お姫様の機嫌が悪いのは、一目瞭然であった。

だってさっき出迎えてくれたときは、先日二人でデートしたときに買ったばかりの可愛いコート(俺が選んであげた)を着ていたのに。

フューニャはそれをわざわざポイっと脱いで、古い方のコートに着替えていた。

悲しい。

車に乗るのも、いつもは何も言わずに助手席に座るのに。

フューニャはわざと音を立てて後部座席に乗り、ふんっ、とそっぽを向いていた。

話しかけても無視。

涙がちょちょぎれそうです。

結局、華弦の待つレストランに着くまで、一言も喋ってくれなかった。

ヤバいよこれ…。完全に浮気を疑われてる。

違うんだよフューニャ…。お義姉様が…。シェルドニアからフューニャのお義姉様が来てるんだよ…。

気まずい空気の中、レストランに到着。

「フューニャ、あの…。ここだから。彼女、もう先に来て待ってるから…」

「…」

必死に話しかけるも、フューニャさん、ぷいっ、とよそを向いてしまった。

あぁ…。切ない。

俺はこんなにも…こんなにもフューニャ一筋なのに…。

会うなら会ってやろうじゃないかという強い意思で、フューニャはずんずん歩いていった。

慌ててフューニャを追いかけ、予約していたおいた部屋に入る、直前。

「…あの、フューニャ」

「…」

ジトッ、と俺をジト睨むフューニャ。怖い怖い。

マジで泣きそうになるからやめて。

「…何です」

「あの、多分…。色々、驚くことがあるだろうし…。もしかしたら、傷つくかもしれないけど…」

「でしょうね」

やめて泣きそう。

そういう意味じゃなくて。

「…でも、俺はフューニャの味方だから。ずっと味方だから…。それを、忘れないで欲しい」

「…良いでしょう。ならば見てあげましょう…。あなたが何処の馬の骨と逢い引きしたのか」

だから浮気じゃありません。

フューニャはむんずと扉を掴み、怒りに任せて勢い良く開けた。

中にいたのは。

「…えっ…」

「…あら…。お久し振りですね、フューシャ…。随分大きくなりましたね」

およそ、二十年ぶりになる。

姉妹の再会であった。