お義姉さんには、先にレストランで待っていてもらうことにして。
俺は、仕事終わりにフューニャを迎えに、一度家に戻った。
フューニャ、何て言うかな…。喜ぶだろうか…それとも悲しむだろうか…と、悶々しながら自宅の扉を開けると。
「お帰りなさい、ルヴィアさん」
何も知らないフューニャが、ひょこっと顔を覗かせた。
「あ、フューニャただいま…」
いつも通りてこてこと寄ってきた、その瞬間。
フューニャの天使のような顔が、一瞬にして般若のそれに変わった。
!?
フューニャはしゅばっ、とゼロ距離まで詰め寄り、持ち前の警察犬顔負けの素晴らしい嗅覚を働かせた。
「…ふっ…フューニャ?」
毎日のようにお出迎えしてもらって、毎日のように浮気チェックをされてるが。
こんなことは、今日が初めてだ。
フューニャはいつもの四割増しで、激しく鼻をひくひくさせて、俺の匂いを嗅いでいた。
な…何?
「フューニャ…?」
「…匂う」
…へ?
「匂う。匂います…。女の匂いです」
へ!?
「とうとうやってしまいましたね、ルヴィアさん…。私の目と鼻を掻い潜って浮気とは。実に良い度胸です」
「は!?ち、違うぞフューニャ。これは…」
「知ってますかルヴィアさん。配偶者の不倫は、離婚事由として認められるんですよ。私は弁護士を雇って、あなたとあなたの不倫相手に慰謝料を請求し、そして離婚を求めることが出来ます」
そ、そんな殺生な。
「しかし私はそれが出来るほど、強い女ではありません…」
「…そうなの?」
フューニャは、よよよ、と夫に浮気された可哀想な妻の顔になり。
そして、ギラリと眼光を光らせた。
「…ですから、夫を『再教育』し、二度と浮気など考えないように仕込むことにします」
「!?」
…それが出来るってさ。
…強い女なのでは?
ってか俺…今、大ピンチなのでは?
「まずは頭の中から煩悩を取り去るとしましょう。洗濯機で一時間くらい回せば、綺麗になるでしょうね」
「はぁぁ!?」
俺、洗濯されてしまう。
今度は未遂じゃない。この子は、やると言ったらマジでやる。
「ちょ、フューニャ…!違うんだよ、浮気じゃないんだ!」
「…ルヴィアさん、あなた、私が占い師だということは知ってますよね?」
「え…?勿論…」
もう、何度もフューニャが占うところを見たことがあるし。
「…それを知っていながら浮気とは、実に良い度胸です。覚悟は…出来ていますね?」
「いや、出来てない。全然出来てないです」
「宜しい。では…私はちょっと密室にこもって悪魔を呼び出してくるので、そこで正座して反省しながら待っていてください」
フューニャの目は、本気だった。
「だからっ…浮気じゃないんだよ!!」
対する俺の目は、涙目だった。
俺は、仕事終わりにフューニャを迎えに、一度家に戻った。
フューニャ、何て言うかな…。喜ぶだろうか…それとも悲しむだろうか…と、悶々しながら自宅の扉を開けると。
「お帰りなさい、ルヴィアさん」
何も知らないフューニャが、ひょこっと顔を覗かせた。
「あ、フューニャただいま…」
いつも通りてこてこと寄ってきた、その瞬間。
フューニャの天使のような顔が、一瞬にして般若のそれに変わった。
!?
フューニャはしゅばっ、とゼロ距離まで詰め寄り、持ち前の警察犬顔負けの素晴らしい嗅覚を働かせた。
「…ふっ…フューニャ?」
毎日のようにお出迎えしてもらって、毎日のように浮気チェックをされてるが。
こんなことは、今日が初めてだ。
フューニャはいつもの四割増しで、激しく鼻をひくひくさせて、俺の匂いを嗅いでいた。
な…何?
「フューニャ…?」
「…匂う」
…へ?
「匂う。匂います…。女の匂いです」
へ!?
「とうとうやってしまいましたね、ルヴィアさん…。私の目と鼻を掻い潜って浮気とは。実に良い度胸です」
「は!?ち、違うぞフューニャ。これは…」
「知ってますかルヴィアさん。配偶者の不倫は、離婚事由として認められるんですよ。私は弁護士を雇って、あなたとあなたの不倫相手に慰謝料を請求し、そして離婚を求めることが出来ます」
そ、そんな殺生な。
「しかし私はそれが出来るほど、強い女ではありません…」
「…そうなの?」
フューニャは、よよよ、と夫に浮気された可哀想な妻の顔になり。
そして、ギラリと眼光を光らせた。
「…ですから、夫を『再教育』し、二度と浮気など考えないように仕込むことにします」
「!?」
…それが出来るってさ。
…強い女なのでは?
ってか俺…今、大ピンチなのでは?
「まずは頭の中から煩悩を取り去るとしましょう。洗濯機で一時間くらい回せば、綺麗になるでしょうね」
「はぁぁ!?」
俺、洗濯されてしまう。
今度は未遂じゃない。この子は、やると言ったらマジでやる。
「ちょ、フューニャ…!違うんだよ、浮気じゃないんだ!」
「…ルヴィアさん、あなた、私が占い師だということは知ってますよね?」
「え…?勿論…」
もう、何度もフューニャが占うところを見たことがあるし。
「…それを知っていながら浮気とは、実に良い度胸です。覚悟は…出来ていますね?」
「いや、出来てない。全然出来てないです」
「宜しい。では…私はちょっと密室にこもって悪魔を呼び出してくるので、そこで正座して反省しながら待っていてください」
フューニャの目は、本気だった。
「だからっ…浮気じゃないんだよ!!」
対する俺の目は、涙目だった。


