「…あなたがどう思っていても、華弦がお宅の嫁の姉である事実は、変わりませんからね」
「…」
「伝えるか伝えないかは、あなた次第ですけど…」
華弦の存在を、ルヴィアさん嫁に話すか。
それとも、黙っているべきか。
単に生き別れただけなら、話すべきだろう。あの地獄みたいな国で、家族は皆死んだのに自分だけ生き残ってしまった、と負い目に感じているルヴィアさん嫁に、実は姉だけでも生きていた、と教えれば。
多分、素直に…そして無邪気に喜ぶことだろう。
だが、華弦は売られたのだ。
ルヴィアさん嫁と天秤にかけられ、優秀だったルヴィアさん嫁を手元に残し、華弦だけが売り物として売られた…。
そんな姉がいたことを、知りもしなかった。
知りもせずに、自分だけ生き残って、幸せに暮らしていた…。
それを「自分が悪かった訳じゃないんだから」と、開き直って図太く考えられる女なら、それでも良し。
しかしルヴィアさん嫁は、そんな風に考えるほど図太くはないだろう。
自分のせいでもないのに、きっと自分を責めるだろう。
俺だって、そんなに彼女と交流が深い訳ではないけど…それくらいは分かる。
そして、俺が分かることを、ルヴィアさんが分からないはずはない。
だったら、いっそ黙っているべきなのか…。
「…お義姉様は、どうですか?」
ルヴィアさんは、華弦にそう尋ねた。
呼び方はお義姉様で固定なんだ。
「嫁に…フューニャに会いたいですか?」
どうだろうな。でもたった一人の妹だし。
「…私はどちらでも構いません。妹との再会を無邪気に喜べるほど、綺麗な生き方をしてきた訳ではありませんから…」
「…」
まぁね。
ついこの間まで、復讐人間だったもんね。
「それに、箱庭帝国出身とはいえ…実質私はシェルドニア人です。故郷の思い出話が出来る訳でもない…」
そもそもルヴィアさん嫁は、華弦の存在を知らない訳だからね。
姉妹が共有する記憶なんて、何もない。
ルヴィアさん嫁にしてみれば、いきなり自分に似たシェルドニア人が来て、「実は自分あなたの姉なんですよ」と言われるのと同じこと。
そりゃあ驚くだろうし、簡単には受け入れられまい。
家族は全滅したと思ってるだろうし…。
そう思うと…伝えない方が良いんじゃないだろうか、と思えてくるが…。
しかし、ルヴィアさんは。
「…分かりました。じゃあ…嫁に会ってもらえますか」
…意外なことに、会わせる方を選んだ。
「…良いんですか?」
「えぇ。隠していても…うちの嫁、俺の隠し事はすぐに勘づいちゃうので」
確かに。
そういえばそうだったな。
「だったら、隠さずに会わせた方が良い。傷つくかもしれませんけど…。それは俺が支えます」
あらルヴィアさん。素敵。
なんてイケメンなのかしら。ルルシーの次に。
「…そこまで覚悟してるのなら、止めませんよ。上手く行くと良いですね」
「ありがとうございます」
華弦にとっても、ルヴィアさん嫁にとっても。
姉妹の再会が、喜ばしいものになることを祈ろう。
「…」
「伝えるか伝えないかは、あなた次第ですけど…」
華弦の存在を、ルヴィアさん嫁に話すか。
それとも、黙っているべきか。
単に生き別れただけなら、話すべきだろう。あの地獄みたいな国で、家族は皆死んだのに自分だけ生き残ってしまった、と負い目に感じているルヴィアさん嫁に、実は姉だけでも生きていた、と教えれば。
多分、素直に…そして無邪気に喜ぶことだろう。
だが、華弦は売られたのだ。
ルヴィアさん嫁と天秤にかけられ、優秀だったルヴィアさん嫁を手元に残し、華弦だけが売り物として売られた…。
そんな姉がいたことを、知りもしなかった。
知りもせずに、自分だけ生き残って、幸せに暮らしていた…。
それを「自分が悪かった訳じゃないんだから」と、開き直って図太く考えられる女なら、それでも良し。
しかしルヴィアさん嫁は、そんな風に考えるほど図太くはないだろう。
自分のせいでもないのに、きっと自分を責めるだろう。
俺だって、そんなに彼女と交流が深い訳ではないけど…それくらいは分かる。
そして、俺が分かることを、ルヴィアさんが分からないはずはない。
だったら、いっそ黙っているべきなのか…。
「…お義姉様は、どうですか?」
ルヴィアさんは、華弦にそう尋ねた。
呼び方はお義姉様で固定なんだ。
「嫁に…フューニャに会いたいですか?」
どうだろうな。でもたった一人の妹だし。
「…私はどちらでも構いません。妹との再会を無邪気に喜べるほど、綺麗な生き方をしてきた訳ではありませんから…」
「…」
まぁね。
ついこの間まで、復讐人間だったもんね。
「それに、箱庭帝国出身とはいえ…実質私はシェルドニア人です。故郷の思い出話が出来る訳でもない…」
そもそもルヴィアさん嫁は、華弦の存在を知らない訳だからね。
姉妹が共有する記憶なんて、何もない。
ルヴィアさん嫁にしてみれば、いきなり自分に似たシェルドニア人が来て、「実は自分あなたの姉なんですよ」と言われるのと同じこと。
そりゃあ驚くだろうし、簡単には受け入れられまい。
家族は全滅したと思ってるだろうし…。
そう思うと…伝えない方が良いんじゃないだろうか、と思えてくるが…。
しかし、ルヴィアさんは。
「…分かりました。じゃあ…嫁に会ってもらえますか」
…意外なことに、会わせる方を選んだ。
「…良いんですか?」
「えぇ。隠していても…うちの嫁、俺の隠し事はすぐに勘づいちゃうので」
確かに。
そういえばそうだったな。
「だったら、隠さずに会わせた方が良い。傷つくかもしれませんけど…。それは俺が支えます」
あらルヴィアさん。素敵。
なんてイケメンなのかしら。ルルシーの次に。
「…そこまで覚悟してるのなら、止めませんよ。上手く行くと良いですね」
「ありがとうございます」
華弦にとっても、ルヴィアさん嫁にとっても。
姉妹の再会が、喜ばしいものになることを祈ろう。


