The previous night of the world revolution4~I.D.~

あらかじめ、ルルシーからルヴィアさんに頼んでもらった。

「お前の嫁にそっくりな人を見つけたから、ちょっと執務室に来て欲しい」と。

そして、俺はルルシーの執務室に、華弦を連れてきて待っていた。

「今からあなたの義理の弟に会う訳ですが、心の準備は良いですか?」

「私は心の準備など必要ありません。ただ会うだけですから」

ふむ。つれないお返事。

「今更家族になど、会ったところで…」

「…」

華弦としては、あまり気が進まないご様子。

無理もないだろう。

優秀な妹だけは手元に残され、落ちこぼれの自分だけが奴隷として異国に売られた。

そんな自分の存在を全く知らずに育った妹との再会を…素直に喜べるはずなどない。

しかし…と、思ったそのとき。

「失礼します、ルルシーさん」

「あ、ルヴィア…」

ルヴィアさんが、やって来てしまった。

きっと彼のことだから、華弦を見るなり、「え!?何で嫁がここに…」とか言うのかなと思ったが。

ルヴィアさんは、更にその一歩上を行っていた。

「…?」

きょろきょろ、と室内を見渡すルヴィアさん。

「ルヴィア…。よく来てくれたな」

「?はい…」

「…」

「…」

…あれ?ルヴィアさんが無反応?

そもそも、華弦が見えていない?

「あの…ルルシーさん。うちの嫁にそっくりな人がいるって聞いたんですけど」

「…うん」

「何処にいるんですか?まだ来てない?」

あっ、成程。

分かっちゃった。

俺は理解したが、ルルシーはきょとんとしていた。

「…いや…いるじゃないか、そこに」

「え?」

ルルシーは、華弦を指差した。

じーっ、と華弦を見つめるルヴィアさん。

そして、いきなり怒り始めた。