その日の夜。
俺は、彼女の部屋を訪ねた。
「こんばんは、華弦さん」
「…ルレイア」
もう夜遅い時間だというのに、彼女は何やら忙しそうだった。
…荷造りで。
「ここを出ていくつもりですか?」
分かっていながら、俺は聞いた。
「えぇ…。私がここにいる理由は、もうなくなりましたから」
「ふぅん…」
復讐を終えた今、華弦がヘールシュミット邸にいる理由はなくなった。
アシミムも、華弦の復讐心を知った以上、もう彼女を自分の傍には置いておきたくないだろう。
だから、出ていく。
「何処に行くつもりですか?」
「さて…。私は元々、奴隷の身分ですからね。 また別の屋敷にでも…」
「シェルドニアにいれば、いずれ『白亜の塔』の餌食になるだけでは?」
これまでは、洗脳システムから除外されているヘールシュミット家にいたけど。
他の屋敷に行くなら、今度は洗脳から逃れられないはずでは。
「いずれはお金を貯めて、シェルドニアを出るつもりです。いつになるかは分かりませんが…」
「箱庭帝国にでも帰りますか?」
「どうでしょう…。帰っても、あの国にもう私の居場所はないでしょうからね」
そうかもね。
彼女が生まれた頃と比べたら、今の箱庭帝国は全く別の国と化しているだろう。
「箱庭帝国の代表とは、ちょっとした知り合いなので。あなたが祖国から海外に売られたと話せば、帰国させて、衣食を保証してくれると思いますよ」
華弦の事情をルアリスに話せば。
あの甘ちゃんなルアリスのことだ。すぐに帰国の手配をし、帰国してからも丁重に扱い、決して悪いようにはすまい。
しかし、華弦はあまり気が進まないようだった。
故郷とはいえ、生まれてからたった二、三年しかいなかった上に…何より、自分を売った国だからな。
華弦としては、複雑な心境なのだろう。
「…なら、俺達と一緒にルティス帝国でマフィアをやる、ってのはどうです?」
「…!」
華弦は、ハッとして顔を上げた。
俺は、彼女の部屋を訪ねた。
「こんばんは、華弦さん」
「…ルレイア」
もう夜遅い時間だというのに、彼女は何やら忙しそうだった。
…荷造りで。
「ここを出ていくつもりですか?」
分かっていながら、俺は聞いた。
「えぇ…。私がここにいる理由は、もうなくなりましたから」
「ふぅん…」
復讐を終えた今、華弦がヘールシュミット邸にいる理由はなくなった。
アシミムも、華弦の復讐心を知った以上、もう彼女を自分の傍には置いておきたくないだろう。
だから、出ていく。
「何処に行くつもりですか?」
「さて…。私は元々、奴隷の身分ですからね。 また別の屋敷にでも…」
「シェルドニアにいれば、いずれ『白亜の塔』の餌食になるだけでは?」
これまでは、洗脳システムから除外されているヘールシュミット家にいたけど。
他の屋敷に行くなら、今度は洗脳から逃れられないはずでは。
「いずれはお金を貯めて、シェルドニアを出るつもりです。いつになるかは分かりませんが…」
「箱庭帝国にでも帰りますか?」
「どうでしょう…。帰っても、あの国にもう私の居場所はないでしょうからね」
そうかもね。
彼女が生まれた頃と比べたら、今の箱庭帝国は全く別の国と化しているだろう。
「箱庭帝国の代表とは、ちょっとした知り合いなので。あなたが祖国から海外に売られたと話せば、帰国させて、衣食を保証してくれると思いますよ」
華弦の事情をルアリスに話せば。
あの甘ちゃんなルアリスのことだ。すぐに帰国の手配をし、帰国してからも丁重に扱い、決して悪いようにはすまい。
しかし、華弦はあまり気が進まないようだった。
故郷とはいえ、生まれてからたった二、三年しかいなかった上に…何より、自分を売った国だからな。
華弦としては、複雑な心境なのだろう。
「…なら、俺達と一緒にルティス帝国でマフィアをやる、ってのはどうです?」
「…!」
華弦は、ハッとして顔を上げた。


