──────何の前触れもなく。
深夜、ミレド・トレギアスは突然聞こえてきた異音に目を覚ました。
「…?」
上体を起こし、辺りを見る。
そこには、先程まで睦み合っていた側室二人が左右に横になっているだけだった。
気のせいか、と再び横になり、目を閉じたとき。
再び異音が聞こえ、彼は慌てて飛び起きた。
何かが壊れるような…割れたような、破砕音だった。
気のせいではない。
「…ミレド様…?」
隣に寝ていた側室が一人、目を覚まして怪訝な声で彼を呼んだ。
「どうなさいました…?」
「いや、今…何か、音が…」
得体の知れない恐怖を感じたミレド王は、警備兵を呼ぼうとベッドサイドに手を伸ばした。
そのとき。
シェルドニア風建築様式の特徴である、丸い窓が。
彼の寝室の大きな丸い出窓…勿論防弾ガラス…が、一瞬にして割れた。
「!?」
突如聞こえた強烈な破砕音に、もう一人の側室も飛び起きて、窓に釘付けになった。
白いカーテンが、風にたなびいていた。
カツン、と窓枠に黒い靴の踵が乗せられた。
暗闇を溶かし込んだような黒髪と、黒いコート。
そしてその左手には、巨大な黒い鎌。
背中に映える月光が、やけに紅く感じられた。
その姿は、正しく。
「…し…死神…?」
「…ご名答」
氷のように冷たい声が室内に響いた。
恐怖のあまり、指の一本も動かせなかった。
助けを呼ぶ為に、叫ぶことさえも。
ただ、迫り来る死神の鎌を前に、震えていること日か出来なかった。
「ずいぶん思ってたんですけど、この国って、右を見ても左を見ても真っ白ばかりで、最低ですけど…」
「ひっ…」
黒い瞳と鎌が、目の前に迫った。
「…夜の闇だけは、ちゃんと真っ黒で…素敵ですね」
ミレド・トレギアスは、人生の最期で初めて知った。
深夜、ミレド・トレギアスは突然聞こえてきた異音に目を覚ました。
「…?」
上体を起こし、辺りを見る。
そこには、先程まで睦み合っていた側室二人が左右に横になっているだけだった。
気のせいか、と再び横になり、目を閉じたとき。
再び異音が聞こえ、彼は慌てて飛び起きた。
何かが壊れるような…割れたような、破砕音だった。
気のせいではない。
「…ミレド様…?」
隣に寝ていた側室が一人、目を覚まして怪訝な声で彼を呼んだ。
「どうなさいました…?」
「いや、今…何か、音が…」
得体の知れない恐怖を感じたミレド王は、警備兵を呼ぼうとベッドサイドに手を伸ばした。
そのとき。
シェルドニア風建築様式の特徴である、丸い窓が。
彼の寝室の大きな丸い出窓…勿論防弾ガラス…が、一瞬にして割れた。
「!?」
突如聞こえた強烈な破砕音に、もう一人の側室も飛び起きて、窓に釘付けになった。
白いカーテンが、風にたなびいていた。
カツン、と窓枠に黒い靴の踵が乗せられた。
暗闇を溶かし込んだような黒髪と、黒いコート。
そしてその左手には、巨大な黒い鎌。
背中に映える月光が、やけに紅く感じられた。
その姿は、正しく。
「…し…死神…?」
「…ご名答」
氷のように冷たい声が室内に響いた。
恐怖のあまり、指の一本も動かせなかった。
助けを呼ぶ為に、叫ぶことさえも。
ただ、迫り来る死神の鎌を前に、震えていること日か出来なかった。
「ずいぶん思ってたんですけど、この国って、右を見ても左を見ても真っ白ばかりで、最低ですけど…」
「ひっ…」
黒い瞳と鎌が、目の前に迫った。
「…夜の闇だけは、ちゃんと真っ黒で…素敵ですね」
ミレド・トレギアスは、人生の最期で初めて知った。


