The previous night of the world revolution4~I.D.~

観念したのか、殺される覚悟が出来たのか。

アシミムはぶるぶる震えながらも、必死に命乞いしてきた。

ただし、自分の命ではない。

「お、お願いだから…。ラトヴィは…ラトヴィの命だけは…。わたくしはどうなっても良いから…ラトヴィは…」

…この期に及んで、弟の身を案じるか。

糞女だな。こいつは。

「…あのねぇ。あなたの大好きな弟、あなたに負けないくらいの糞野郎だと思うんですけど。あんな糞野郎を助けてーなんて、馬鹿なんですか?」

お前の次に早く死んだ方が良い人間だと思うよ。あいつ。

その次がミレド王な。

お前の血筋、クズしかいないな。

一族郎党根絶やしにした方が、世間様の為なんじゃないの?

「あの子を助けてくれるのなら…何でもしますわ。わたくしに出来ることなら、何でも…!」

「何でも…?ふぅん…。なら、とりあえずそのムカつく縦ロールを切り落としてもらいましょうか」

俺は、ナイフをアシミムの前に転がした。

俺、こいつのせいで洗脳されて、ルルシーを殺しかけたし。

そのくらいやっても文句言われないだろ。

それで弟が助けてもらえるなら何でもする、というのは本気だったようで。

アシミムは震える手でナイフを取り、自分の髪に当てた。

…ちっ。

「馬鹿が」

俺はアシミムの手を蹴り飛ばしてやった。

アシミムの手からすっ飛んだナイフが、壁に当たって落ちた。

ババァの断髪式なんか見ても、何も面白くない。

ゲロ顔は、もう充分だ。

「おい、ルレイア…」

見るに耐えなくなったらしく、ルルシーが俺を促した。

そうですね。もう良いや。

「つまらなくなったので、もう終わりにしましょう」

「…!駄目だ、この方を殺しては…!」

「わたくしは…!わたくしはどうなっても良い。ラトヴィを…!」

ルシードとアシミム。意見が食い違ってますけど。

「…悪いですけど、どちらの言い分も聞いてあげません」

二人のシェルドニア人が、血相を変えて絶望に震える様を充分に堪能したので。

そろそろ、ネタばらしと行こう。

「…アシミムさん。俺達は今からミレド王を殺しに行ってきます。そして弟さんを取り戻してあげますよ」

「…え?」

アシミムの顔は、写真に撮っておきたいくらい間抜けなものだった。