The previous night of the world revolution4~I.D.~

…そうして、俺は計画を実行に移した。

ヘールシュミット家が元々所有していた客船『ホワイト・ドリーム号』を改造し、『白亜の塔』を備え付け、遥々ルティス帝国に向かい。

予定通りルレイアとルルシーの二名を、あの船に乗せた。

ルリシヤという、彼らの仲間がついてきたことは予想外だったが。

それでも、ルレイアさえ洗脳してしまえば、あとはどうということもないはずだった。

予定通りシェルドニアに到着し、ルレイア・ティシェリーを手に入れた。

ルルシーとルリシヤの二人を逃がしてしまったことは痛かったが、ルレイアが手に入ったのだから問題はない。

彼は非常に優秀な男だった。

洗脳されながらも、アシミムさんの為にミレド王暗殺に向けて、実によく働いていた。

アシミムさんも、ルレイア・ティシェリーの有能ぶりには驚いたようだった。

あの男は、俺とは違う。本物の天才だった。

生まれながらに、才能の女神に愛された男だった。

俺はそれが妬ましかった。アシミムさんの一番の腹心の座を奪われてしまうのではないかと思った。

でも所詮、あの男は洗脳されてアシミムさんに仕えているに過ぎない。

俺は洗脳なんてされていない。心から、自分の意思でアシミムさんに忠誠を誓っている。

惨めな男だ。洗脳され、かつての仲間に銃口を向け、何も知らずにアシミムさんを盲信する…。

憐れだと思った。

でも、怖いとは思わなかった。

この男を恐ろしいとは、一度も思っていなかった。

最初に船で会ったときから、俺はいつもこの男よりも優位に立っていた。

ルレイアは、常に俺達の洗脳下にあったのだから当然だ。

でも、今は違う。

今初めて、俺は「本物の」ルレイア・ティシェリーと対峙した。

そして、この男は…敵に回してはならない人間なのだと。

ルティス帝国のマフィアとはどういうものなのかを、初めて知った。