The previous night of the world revolution4~I.D.~

アシミムさんは、ラトヴィさんを取り返そうと必死だった。

ラトヴィさんを無事に取り戻す為なら、何を引き換えにしても構わない、と本気で思っていたのだろう。

だからと言って、無関係の異国人を巻き込み、挙げ句洗脳までして従わせるなど…。

いくらなんでも、それは倫理に反すると思った。

「そんな…主よ、正気ですか。無関係の外国人を巻き込むなんて…」

「いいえ、わたくしはやりますわ。ラトヴィを取り戻すには…もうそうするしかありませんもの」

「…!」

アシミムさんの目は、決意に燃えていた。

「あの子を取り戻す為なら、わたくしは…」

「…」

俺がいくら説得しても…無意味だと思われた。

外道に落ちてでも…ラトヴィさんを取り戻したい、と。

彼女がそこまで覚悟しているのなら…最早、止めることは出来ない。

それに何より、俺はアシミムさんの騎士であろうと誓ったのだ。

ならば俺がやるべきことは、アシミムさんの説得ではない。

「…分かりました。お手伝い致します」

彼女を助け、支え、そして一緒に罪を背負うことだ。

「叔父を暗殺してもらうんですもの。並大抵の人間じゃ務まりませんわ。何処かに、適任はいないかしら」

彼女がそう言うので、俺は時間をかけて調べた。

アシミムさんの手先として、ミレド王の暗殺を引き受けてくれそうな人材を。

罪悪感はあったが、それよりもアシミムさんへの忠誠心の方が勝っていた。

幾度となく、いっそ俺が、刺し違えてでもミレド王を殺そうかと思った。

だが、それは出来ない。

アシミムさんの腹心である俺が、ミレド王を殺したことがバレたら…アシミムさんの陰謀を疑われ、彼女が捕まってしまう。

だからミレド王を殺すのは、あくまでもアシミムさんとは無関係の人間でなくては。

そこで白羽の矢が立ったのは、ルティス帝国にあるマフィア『青薔薇連合会』の幹部二人だった。