「おっ…と、これは失礼」
後ろに誰かいたのか。気がつかなかった。
誰にぶつかったのかと顔を上げると、そこにいたのは、落ち着いた雰囲気の、若い青年だった。
長身に異国調の和風な衣装を着て、長い黒髪を後ろで一つに束ねた彼は、じっ、と俺を睨むように見つめていた。
この人…シェルドニア人か。
シェルドニア王国は、多種多様な文化の入り交じる国だと聞いている。
異国風の衣装を身に付けていることが、何よりの証拠だ。
「…失礼。怪我はありませんでしたか?」
俺は、シェルドニア語でそう言い直した。
発音は完璧なはずだが、ちゃんと通じているだろうか。
すると。
「…心配ない。こちらこそ、済まなかった」
抑揚のない静かな声で、そう答えた。
彼もシェルドニア語だ。ということは…やっぱりシェルドニア人なのか。
…ん?
俺はそのとき、彼が片手に持っている杯に気がついた。
その独特な形の杯は…。
「それ…シェルドニア古酒ですか?」
「これか…?そうだが。探しているのか?」
「えぇ。何処に置いてあるのか知ってます?」
「入り口とは反対側の酒類コーナーにある。それから…シェルドニア古酒なら、産地はシェルドニア原産のものを…ストレートで飲む方が良い」
「…?そうですか、分かりました。ありがとうございます」
俺がそう言うと、彼はすっ、と背を向け、立ち去っていった。
…何と言うか…何だか不思議な男だった。
「…ルレイア?今、何を話してたんだ?」
シェルドニア語が分からないルルシーは、俺が今彼と何を話していたのか知らない。
「なんか…シェルドニア原産?のお酒の方が良いって言ってましたよ」
「原産…?」
彼の言葉の意味は、実際に酒類コーナーに行ってみて、初めて分かった。
シェルドニア古酒と言っても、全国各地から来る客人の出身地に合わせて、ルティス帝国産のシェルドニア古酒や、アシススァルト産のシェルドニア古酒など、様々な種類があるのだ。
更に、シェルドニア古酒の水割りとかソーダ割りとか、アレンジも色々出来るようになってる。
成程、異国人であろうと、ちゃんと本場のシェルドニア古酒をそのまま飲めよ、と。
彼はそう言いたかった訳か。
「成程、じゃあ彼の助言通り、本場仕込みのシェルドニア古酒を飲んでみますか」
「だな。どんな味なのか…」
俺達はそれぞれ杯を手に、くぴっ、とシェルドニア古酒を飲んでみた。
が。
「うっ…なんか…結構キツいですね?」
「あぁ…ちょっとキツいな」
俺達が普段飲んでるお酒と比べると…かなりキツい。
これがシェルドニア古酒なのか。
「俺は平気だが…。でも、やっぱりルティス産のワインの方が美味しいな」
お酒にはめっぽう強いルリシヤだが、彼はあまりシェルドニア古酒は好きではないようだ。
俺は、そんなに悪くないと思うけどな。
キツいけど、これはこれで癖になりそうな味だ。
「慣れたら美味しいんじゃないですか?これ」
「そうか…?俺もちょっと口に合わんな」
ルルシーも、シェルドニア古酒は苦手なようだ。
えー。美味しいと思ったの俺だけ?
まぁ、キツいからそんなにたくさんは飲めないな。
結局、俺もシェルドニア古酒は一、二杯軽く飲んだだけで、あとはいつもの、ルティス産のワインを楽しんだ。
後ろに誰かいたのか。気がつかなかった。
誰にぶつかったのかと顔を上げると、そこにいたのは、落ち着いた雰囲気の、若い青年だった。
長身に異国調の和風な衣装を着て、長い黒髪を後ろで一つに束ねた彼は、じっ、と俺を睨むように見つめていた。
この人…シェルドニア人か。
シェルドニア王国は、多種多様な文化の入り交じる国だと聞いている。
異国風の衣装を身に付けていることが、何よりの証拠だ。
「…失礼。怪我はありませんでしたか?」
俺は、シェルドニア語でそう言い直した。
発音は完璧なはずだが、ちゃんと通じているだろうか。
すると。
「…心配ない。こちらこそ、済まなかった」
抑揚のない静かな声で、そう答えた。
彼もシェルドニア語だ。ということは…やっぱりシェルドニア人なのか。
…ん?
俺はそのとき、彼が片手に持っている杯に気がついた。
その独特な形の杯は…。
「それ…シェルドニア古酒ですか?」
「これか…?そうだが。探しているのか?」
「えぇ。何処に置いてあるのか知ってます?」
「入り口とは反対側の酒類コーナーにある。それから…シェルドニア古酒なら、産地はシェルドニア原産のものを…ストレートで飲む方が良い」
「…?そうですか、分かりました。ありがとうございます」
俺がそう言うと、彼はすっ、と背を向け、立ち去っていった。
…何と言うか…何だか不思議な男だった。
「…ルレイア?今、何を話してたんだ?」
シェルドニア語が分からないルルシーは、俺が今彼と何を話していたのか知らない。
「なんか…シェルドニア原産?のお酒の方が良いって言ってましたよ」
「原産…?」
彼の言葉の意味は、実際に酒類コーナーに行ってみて、初めて分かった。
シェルドニア古酒と言っても、全国各地から来る客人の出身地に合わせて、ルティス帝国産のシェルドニア古酒や、アシススァルト産のシェルドニア古酒など、様々な種類があるのだ。
更に、シェルドニア古酒の水割りとかソーダ割りとか、アレンジも色々出来るようになってる。
成程、異国人であろうと、ちゃんと本場のシェルドニア古酒をそのまま飲めよ、と。
彼はそう言いたかった訳か。
「成程、じゃあ彼の助言通り、本場仕込みのシェルドニア古酒を飲んでみますか」
「だな。どんな味なのか…」
俺達はそれぞれ杯を手に、くぴっ、とシェルドニア古酒を飲んでみた。
が。
「うっ…なんか…結構キツいですね?」
「あぁ…ちょっとキツいな」
俺達が普段飲んでるお酒と比べると…かなりキツい。
これがシェルドニア古酒なのか。
「俺は平気だが…。でも、やっぱりルティス産のワインの方が美味しいな」
お酒にはめっぽう強いルリシヤだが、彼はあまりシェルドニア古酒は好きではないようだ。
俺は、そんなに悪くないと思うけどな。
キツいけど、これはこれで癖になりそうな味だ。
「慣れたら美味しいんじゃないですか?これ」
「そうか…?俺もちょっと口に合わんな」
ルルシーも、シェルドニア古酒は苦手なようだ。
えー。美味しいと思ったの俺だけ?
まぁ、キツいからそんなにたくさんは飲めないな。
結局、俺もシェルドニア古酒は一、二杯軽く飲んだだけで、あとはいつもの、ルティス産のワインを楽しんだ。


