The previous night of the world revolution4~I.D.~

俺にとって、アシミムさんは救い主だった。

けれどアシミムさんに、何一つ後ろ暗いところがない、とは言わない。

彼女は俺を可愛がってくれたけど、でもそれ以上に可愛がっているものがあった。

それが、彼女の弟…ラトヴィさんだった。

恐らく、俺を可愛がってくれたのも…この弟の姿と俺を重ねていた、という理由もあるのだろう。

ラトヴィさんは、アシミムさんの弟ではあったけど、アシミムさんとは大きく違っていた。

俺はラトヴィさんのことが、昔から苦手だった。

だって彼の目は、俺がこれまで仕えていた、前の主人二人と同じなのだから。

意地悪で、残虐で…冷酷な男の目だった。

事実、彼が自分の奴隷を痛め付けたり、乱暴に振る舞っているところを目撃したこともある。

アシミムさんは、弟の暴力的な行いに心を痛めていた。

しかし、ラトヴィさんは姉であるアシミムさんには優しかったし、アシミムさんは弟に甘いところもあったから、結局黙殺してしまっていた。

弟可愛さで、全て許してしまっていたのだ。

そして、そのラトヴィさんがミレド王に囚われてしまってからというもの…アシミムさんは、『白亜の塔』に異常な関心を向けるようになった。