ボーイさんに案内された後、客室に向かって歩きながら。
「結果オーライでしたね、ルリシヤ。ルリシヤもSクラスのお部屋なんて」
「あぁ、結果オーライだったな。こんなことでSクラスの部屋になるとは。ラッキーだな」
予約が取れてなかったと聞いたときは、思わず面食らってしまったが。
結果としてルリシヤもSクラスのお部屋になったのだから、本当に結果オーライだ。
「しかし…Sクラスの部屋は塞がってるんじゃなかったのか?キャンセルでも出たのか」
と、ルルシー。
「こういう不測の事態に備えて、常にいくつかは部屋を空けてるんでしょう」
「あ…そういうことか」
ルリシヤだってお金払ってるのに、やっぱりあなたは乗れません、なんて洒落にならないからな。
「えぇっと…Sクラスの客室は…あっちですね」
船内の案内表示を見ながら、俺達は客室に向かって歩いていた。
でっかい船だけあって、廊下も広い。
これだけ大きな船なら、船酔いもしないな、こりゃ。
「…」
俺は何気なく案内表示を見ていたが。
ルルシーは、何故かその案内表示を、じっ…と難しそうな顔で見つめていた。
「…?ルルシー?何か気になることでも?」
「あ、いや…。案内表示…シェルドニア語なんだなって…」
「…あー…」
ルルシーに指摘されて、初めて気がついた。
船の中の案内表示は、どれもシェルドニア語で書かれている。
国際船だから、下の方に小さくルティス語でも表記されているけど…。
「この船、一応シェルドニア王国の船だからな…。ルルシー先輩は、シェルドニア語は読めないのか」
「…」
ルルシーは顔をしかめた。
彼は、シェルドニア語は読めないのだ。
まぁ、無理もないだろう。
「仕方ないですよ。シェルドニア語なんて、貴族でもないと勉強しませんからね」
ルルシーの出自を考えれば、とてもではないがシェルドニア語なんて学ぶ機会はなかっただろう。
「ルリシヤは、シェルドニア語は?」
「俺は一応話せるよ」
中流貴族の出身であるルリシヤは、シェルドニア語を話せるらしい。
「そうですか、俺も読み書き共にマスターしてますが…。まぁ、ルティス帝国では比較的マイナーな言語ですからね…」
それこそ、ルリシヤのような中流貴族以上の生まれでもなければ、学ぶ機会はないはずだ。
ルティス帝国で外国語と言えば、優先されるのはアシスファルト語だからな。
俺もシェルドニア語は、話す為と言うよりは、知識として知っているだけだ。
話せるけど、話す機会はほとんどない。
「…俺だけ読めないし、話せないのか…。軽い挨拶程度なら分かるんだが…それ以上は無理だな」
自分だけ生まれが平民だということを思い知らされた気分なのか、ルルシーは引け目を感じているようだった。
とんでもない。
「気にすることないですよ。ルティス語の表記もあるし、国際船なんだから、ルティス語でも通じますよ」
「さっきのボーイさんも、ルティス語だったしな。それでももし話す必要があるときは、俺かルレイア先輩を呼んでくれ。通訳しよう」
「…済まんな。ありがとう」
もールルシーったら。こんなことで。
俺はルルシーにひょいっ、と抱きついた。
「俺がルルシーの傍にいますからね!ルルシーの手となり、足となり、口となりますから!だから安心してください!」
「ちょっ、くっつくな馬鹿!」
「ん~、ルルシ~」
「ルルシー、じゃねぇ。離れろ!」
よしよし、いつも通り。
これで元気が出たかな。
「結果オーライでしたね、ルリシヤ。ルリシヤもSクラスのお部屋なんて」
「あぁ、結果オーライだったな。こんなことでSクラスの部屋になるとは。ラッキーだな」
予約が取れてなかったと聞いたときは、思わず面食らってしまったが。
結果としてルリシヤもSクラスのお部屋になったのだから、本当に結果オーライだ。
「しかし…Sクラスの部屋は塞がってるんじゃなかったのか?キャンセルでも出たのか」
と、ルルシー。
「こういう不測の事態に備えて、常にいくつかは部屋を空けてるんでしょう」
「あ…そういうことか」
ルリシヤだってお金払ってるのに、やっぱりあなたは乗れません、なんて洒落にならないからな。
「えぇっと…Sクラスの客室は…あっちですね」
船内の案内表示を見ながら、俺達は客室に向かって歩いていた。
でっかい船だけあって、廊下も広い。
これだけ大きな船なら、船酔いもしないな、こりゃ。
「…」
俺は何気なく案内表示を見ていたが。
ルルシーは、何故かその案内表示を、じっ…と難しそうな顔で見つめていた。
「…?ルルシー?何か気になることでも?」
「あ、いや…。案内表示…シェルドニア語なんだなって…」
「…あー…」
ルルシーに指摘されて、初めて気がついた。
船の中の案内表示は、どれもシェルドニア語で書かれている。
国際船だから、下の方に小さくルティス語でも表記されているけど…。
「この船、一応シェルドニア王国の船だからな…。ルルシー先輩は、シェルドニア語は読めないのか」
「…」
ルルシーは顔をしかめた。
彼は、シェルドニア語は読めないのだ。
まぁ、無理もないだろう。
「仕方ないですよ。シェルドニア語なんて、貴族でもないと勉強しませんからね」
ルルシーの出自を考えれば、とてもではないがシェルドニア語なんて学ぶ機会はなかっただろう。
「ルリシヤは、シェルドニア語は?」
「俺は一応話せるよ」
中流貴族の出身であるルリシヤは、シェルドニア語を話せるらしい。
「そうですか、俺も読み書き共にマスターしてますが…。まぁ、ルティス帝国では比較的マイナーな言語ですからね…」
それこそ、ルリシヤのような中流貴族以上の生まれでもなければ、学ぶ機会はないはずだ。
ルティス帝国で外国語と言えば、優先されるのはアシスファルト語だからな。
俺もシェルドニア語は、話す為と言うよりは、知識として知っているだけだ。
話せるけど、話す機会はほとんどない。
「…俺だけ読めないし、話せないのか…。軽い挨拶程度なら分かるんだが…それ以上は無理だな」
自分だけ生まれが平民だということを思い知らされた気分なのか、ルルシーは引け目を感じているようだった。
とんでもない。
「気にすることないですよ。ルティス語の表記もあるし、国際船なんだから、ルティス語でも通じますよ」
「さっきのボーイさんも、ルティス語だったしな。それでももし話す必要があるときは、俺かルレイア先輩を呼んでくれ。通訳しよう」
「…済まんな。ありがとう」
もールルシーったら。こんなことで。
俺はルルシーにひょいっ、と抱きついた。
「俺がルルシーの傍にいますからね!ルルシーの手となり、足となり、口となりますから!だから安心してください!」
「ちょっ、くっつくな馬鹿!」
「ん~、ルルシ~」
「ルルシー、じゃねぇ。離れろ!」
よしよし、いつも通り。
これで元気が出たかな。


