「あなたは即刻、この国から立ち去るべきです。これ以上ここにいるのは危険ですからね」

「でも…。俺は、あなた方の力に…」

あぁ、はいはい。

そう言うと思った。

「俺の無事と、そのミレドの計画を、アイズレンシアに伝えてください。彼が上手くやってくれるでしょう」

「で、でも」

「それからあなたには、俺達とアイズ達が連絡を取る為に、仲介役になってもらいたい。箱庭帝国経由なら、通信傍受の危険もぐっと減りますから」

「それは構いませんけど…でも…」

でもじゃねぇ。

俺はルアリスの顎をがちっ、と掴んだ。

「あなたにしか頼めないお仕事なんですよ。これ以上、用もないのにシェルドニアを彷徨いていれば、あなたと俺達の繋がりがバレることになりかねない」

それは困るのだ。

大層困る。

箱庭帝国との繋がりは、出来るだけ隠しておきたい。

「帰りなさい。明日、すぐに。俺達がいつか無事に帰る為に、明日あなたが無事に帰りなさい。俺に恩を感じているのなら」

「…!」

「…分かりましたね?」

「…分かりました」

よろしい。

「でも…いつか必ず、無事に帰ってきてください」

「ふっ。俺を誰だと思ってるんです」

言われるまでもなく、無事に帰ってみせる。

そしてルルシーと、豪華に結婚式を挙げるのだ。

それまでは、死神が迎えに来たって返り討ちにしてやるから。