The previous night of the world revolution4~I.D.~

「アシミムさん、今夜はお客様に泊まっていってもらいませんか」

日も暮れてきて、そろそろ帰らなければならない時刻が迫ってきた頃。

ルレイア殿が、アシミム殿にさりげなくそう言った。

「泊まって…?でも」

「お客様の分の夕食も、もう用意させていますし…。今夜はこれから雨が降るようですから、折角ですし、泊まっていってもらいましょう。どうですか?ルアリス殿」

ルレイア殿は、にこやかな顔でこちらを向いた。

その目が、一瞬だけ俺を威圧するように光ったのを、俺は見逃さなかった。

…合わせろ、ってことですね。分かりました。

「えぇ。これから特に予定もありませんし…。是非、夕食をご一緒したいです。ご迷惑でなければ…」

「…そうですの。分かりましたわ。では、今夜は泊まっていってくださいな」

アシミム殿は、俺がいようがいまいが、どちらでも構わないのだろう。

あっさりとそう言って、許可を出した。

「ルシファー、お客様をお部屋に案内してあげて」

「はい、分かりました」

不気味なほどににっこりと微笑むルレイア殿に、鳥肌を立てながら。

俺は、ヘールシュミット邸の客室に連れていかれた。