今度こそはと決意を固め、俺は夕食の席についた。
実は、シェルドニア料理は初めてである。
どの料理も何だか奇異に見えるし、洗脳する薬が入っているかもしれないと思うと、一気に食欲が失せる。
何より、シェルドニア国王と一緒に食事の席につくのだ。
緊張のあまり、そもそも食べ物が喉を通る心境ではなかった。
それに、食前酒として出されたシェルドニア古酒。
酒好きには堪らないらしいが、俺はどうもこの酒が口に合わなかった。
それでも、全く食べない、飲まない訳にはいかないので。
俺は、にこやかに食事をする…振りをした。
「どうですかな。シェルドニア料理の味は。やはり、祖国の素朴な味付けの方が口に合いますかな」
言外に、やはり田舎料理の方が口に合うだろう、と言われているようで。
非常に不愉快だった。
…むしろ、箱庭帝国の郷土料理と比べたら、シェルドニア料理の方が美味しいくらいだ。
シェルドニア古酒以外は、の話だが。
「いいえ、美味しいですよ。とても」
ルティス料理ほどではないけど、と。
言いたいが、黙っているのが大人の態度というものである。
「そうですか…。ところで話は変わりますが、ルアリス卿。先程言った、国防についてですが」
「…はい。何か?」
「失礼ながらお尋ねしますが、貴国の軍備管理はいかほどで?革命の後、革命軍は解散したのですか」
「…」
あまりに不躾な…そして国家機密に関する質問に、俺は言葉を失った。
…一体、何ということを聞くのだ。この人は。
ルレイア殿相手でも、返答に困る質問だろうに。
今日会ったばかりの相手に、しかも他国の王に、おいそれと答えると思っているのか。
それほど馬鹿だと思われているのか、俺は。
「…ミレド国王。申し訳ありませんが…その質問にはお答えしかねます」
「…やはり、答えてはくれませんか。我が国は貴国と友好関係を築きたいと思っているのですが…」
散々馬鹿にしておいて、友好関係とは、笑わせてくれる。
大体友好関係なんて、一日二日で築けるものではなかろう。
今日会ったばかりの相手で、しかもこれほど馬鹿にされているのに、どう信用すれば良いのか。
「申し訳ありませんが…国家機密に抵触しますので」
「…ふむ、やはり答えては頂けませんか…。ならばこちらも、腹を割って話すべきですな」
「…?」
ミレド王はいきなり声を低くして、険しい顔でこう言った。
「実は…我が国は遠からず、ルティス帝国に攻め込もうと考えているのです」
俺は絶句して、料理を食べる手が止まってしまった。
実は、シェルドニア料理は初めてである。
どの料理も何だか奇異に見えるし、洗脳する薬が入っているかもしれないと思うと、一気に食欲が失せる。
何より、シェルドニア国王と一緒に食事の席につくのだ。
緊張のあまり、そもそも食べ物が喉を通る心境ではなかった。
それに、食前酒として出されたシェルドニア古酒。
酒好きには堪らないらしいが、俺はどうもこの酒が口に合わなかった。
それでも、全く食べない、飲まない訳にはいかないので。
俺は、にこやかに食事をする…振りをした。
「どうですかな。シェルドニア料理の味は。やはり、祖国の素朴な味付けの方が口に合いますかな」
言外に、やはり田舎料理の方が口に合うだろう、と言われているようで。
非常に不愉快だった。
…むしろ、箱庭帝国の郷土料理と比べたら、シェルドニア料理の方が美味しいくらいだ。
シェルドニア古酒以外は、の話だが。
「いいえ、美味しいですよ。とても」
ルティス料理ほどではないけど、と。
言いたいが、黙っているのが大人の態度というものである。
「そうですか…。ところで話は変わりますが、ルアリス卿。先程言った、国防についてですが」
「…はい。何か?」
「失礼ながらお尋ねしますが、貴国の軍備管理はいかほどで?革命の後、革命軍は解散したのですか」
「…」
あまりに不躾な…そして国家機密に関する質問に、俺は言葉を失った。
…一体、何ということを聞くのだ。この人は。
ルレイア殿相手でも、返答に困る質問だろうに。
今日会ったばかりの相手に、しかも他国の王に、おいそれと答えると思っているのか。
それほど馬鹿だと思われているのか、俺は。
「…ミレド国王。申し訳ありませんが…その質問にはお答えしかねます」
「…やはり、答えてはくれませんか。我が国は貴国と友好関係を築きたいと思っているのですが…」
散々馬鹿にしておいて、友好関係とは、笑わせてくれる。
大体友好関係なんて、一日二日で築けるものではなかろう。
今日会ったばかりの相手で、しかもこれほど馬鹿にされているのに、どう信用すれば良いのか。
「申し訳ありませんが…国家機密に抵触しますので」
「…ふむ、やはり答えては頂けませんか…。ならばこちらも、腹を割って話すべきですな」
「…?」
ミレド王はいきなり声を低くして、険しい顔でこう言った。
「実は…我が国は遠からず、ルティス帝国に攻め込もうと考えているのです」
俺は絶句して、料理を食べる手が止まってしまった。


