「ここが…シェルドニア王国…」

「…一見すると、何もおかしなところはありませんね。平和な国にしか見えません」

俺の隣に座っているユーレイリーが、そう言った。

ちなみに、俺は一人でシェルドニアに来るつもりだったのだが。

ユーレイリーが、せめて自分だけでもお供する、と言い出し。

いや、危険だから来なくて良いよ、セトナ様を頼む、としばらく押し問答したのだが。

最終的に、「私を置いていくつもりなら、私を殺していってください」と真顔でユーレイリーに言われ。

これはもう駄目だと、俺は諦めた。

こうして、一緒に来たのだが…。

…ユーレイリーの言う通り、一見しただけでは、ただの平和な国にしか見えない。

シェルドニアには、電信柱のように白い塔がいくつも立っていた。

一見無害なように見えるが…あれが…国民を洗脳する塔なのか。

とても信じられない。

「…くれぐれも気を付けてください、坊っちゃん。ミレド王が何を考えているか分かりません」

「あぁ…そのつもりだ」

俺も、油断するつもりはない。

この国の洗脳システムのこと…そして、この国の何処かにいるルレイア殿達について。

少しでも情報を得るのだ。

俺は強く心にそう誓った。