The previous night of the world revolution4~I.D.~

「そんじゃ、俺任務失敗したことにして、アシミムのところに帰ります…けど」

けど?

ルレイアは、目をきらんきらんさせながらこちらを向いた。

「その前にルルシー!新婚夫婦として、初夜を共に過ごすくらいの時間はありますよね?」

「…」

「成程、それは確かに必要だな。それじゃ、邪魔者の俺は『事』が終わるまでロビーで待ってるよ」

さっさと出ていこうとするルリシヤを、俺は必死に止めた。

余計な気遣いはせんで良い。

「出ていくな。ここにいろ」

「えっ。初夜で3Pは、さすがにアブノーマルが過ぎるぞルルシー先輩」

「そういう意味じゃねぇよ!」

何だその気持ち悪い誤解は。ちげーよ。

「大丈夫ですよルルシー、そんなに緊張しなくても。俺、処女の扱いは手慣れてますから。初めてでも天国に連れていってあげますよ」

「やめろ。天国なんて行くか」

「ぬぬっ。ルルシー、俺の手腕を甘く見ましたね?俺はこう見えて、自称不感症の女を一晩抱き潰して、明け方には首筋をぺろっとするだけで絶頂するように『開発』してあげたんですよ。甘く見ないでください」

そういう話は聞きたくなかったな。

その女の人が気の毒だよ。

「ねっ、だからルルシーも。優し~く抱いてあげますよ。痛みなんて感じる間もなく気持ち良く…」

「分かった分かった。元気でなルレイア。もう洗脳されるなよ頼むから」

「ルルシ~。初夜~!」

初夜言うな。

誰がお前に「開発」されるか。

「もう~…。仕方ないですね。じゃあ、初夜はルティス帝国に帰ってからにしますか…」

帰ってからもしないよ。

「ちゃんとフェロモンレベルを下げてから帰れよ」

「大丈夫。俺はこう見えても、ランドエルス騎士官学校で、見事同級生達を騙し通した俳優ですからね」

…まぁ、その点では信用出来るか。

「ルレイア先輩。一応この携帯を渡しておく。盗聴の恐れはないから、もし自分の手で対処出来ない事態が起きたら、これを使って、遠慮なく連絡してくれ。形振り構わず助けに行くから」

ルリシヤが、黒い携帯電話をルレイアに渡した。

「ありがとうございます。そちらも何かあったら連絡してくださいね」

「あぁ」

大丈夫だ。ルレイア、お前以上に危険なことはないから。

俺は、帰っていくルレイアの背中に向かって言った。

「…絶対、また会うぞ。ルレイア」

「勿論。もう二度と、あなたを忘れたりなんてしませんよ。あなたの…愛しい名前を」

…あぁ、そうしてくれ。

お前がいなくなるなんて、もう耐えられないんだから。