The previous night of the world revolution4~I.D.~

「アシミムさえぶっ飛ばせば、この国にはもう用はない。俺達を止める者は誰もいないのだから、アイズに手引きしてもらって、こっそり不正出国して帰れば良い」

「…」

それが…一番平和な方法、か。

「あるいは、華弦の代わりにラトヴィの居場所を突き止めて、俺達がラトヴィを殺す。これでもアシミムは無力化出来ますね」

「わざわざミレドをぶっ殺す必要はない…ってことか」

「そう。余計な危険を冒すだけです」

…確かにな。

俺達がミレド王の暗殺を考えていたのは、それがルレイアを取り戻す方法だったからだ。

ルレイアの洗脳が解けた今、他国の王の暗殺に関わるなんて、そんな危険を冒す必要はない。

俺達としては…もうこれ以上面倒事に関わりたくないから、さっさと帰りたいのだ。

俺だって、これ以上この国に関わりたくはない。

ルレイアを連れて、早く帰りたい。

それが本音だ。

「どちらにしても、アシミムだけは無力化しておかないと、この国から出られませんからね。アシミムを殺すか、それともラトヴィを殺すか…どっちでも良いですけど」

「…華弦に協力してもらうとしたら、ラトヴィを殺さないとな」

「うーん…。ぶっちゃけ彼女の野心なんて、俺にとってはどうでも良いんですよねー」

…冷たいようだが。

俺もルレイアが正気に戻った今、華弦の野心なんてどうでも良い。

「じゃあ…やっぱりルレイア先輩がアシミムを闇討ちするのが一番手っ取り早いか。ミレドの代わりにアシミムを毒殺すれば、それで終わりだ」

「やるなら急いだ方が良いですね…。アシミムもミレドも別に怖くはないですが、ルシードに勘づかれたら面倒です」

…ルシード…。

「ルシードって奴は…やっぱり強いのか?」

「強いですねぇ…。面倒臭いタイプですよあれは」

ルレイアが敢えてそう言うのなら、本当に強いのだろう。

少なくとも、舐めてかかれる相手ではない。

「死神モードになった俺なら、敵じゃありませんけど…」

「…無理をするなよ、ルレイア。頼むから無理をしてくれるな…。もう、お前一人に負担をかけたくないんだ」

「もー、ルルシーったら…心配しないで…って言ってもあなたは心配するんでしょうね」

お前が心配させるからな。

俺を安心させた試しがないよ、お前は。

「分かってます。俺だってもう洗脳されるのは御免ですからね。今回ばかりは慎重に動きます」

「…頼むよ。お前が危ないのはもう嫌なんだ」

「はい。ルルシーも気を付けてください」

お前が一番危ないんだよ。馬鹿。

折角この手に取り戻したルレイアを、また手放すのは嫌だった。

でも…。

ルレイアの言う通り、慎重に動かなければならない。