The previous night of the world revolution4~I.D.~

俺達は、ルレイアが正気を失った後のことを…華弦の野心も含めて…ルレイアに話して聞かせた。

「へぇ、華弦…。あの子、何か裏があるとは思ってましたけど、そんな事情が…。確かに改めて考えてみたら、ルヴィアさんの嫁に似てますね」

「気づいてなかったのか?」

「都合の悪いことだけ忘れてたみたいなので、俺」

…成程。

「…ともあれ、これで今後の方針は決まりましたね」

ルレイアはケチャップまみれの服を、俺が差し出したタオルで拭きながら言った。

いつも黒い服で慣れてるから、白と赤のコントラストが凄く違和感あるな。

ケチャップ投げたの俺だけど。

ごめんな。

「まず、俺はこのまま洗脳されてる振りをして、アシミムのところに帰ります」

「…!」

「その上で、ミレド王を暗殺するか、それともアシミムをどうするか決めましょうか…」

「…帰るのか、ルレイア」

俺は思わず、子供じみたことを言ってしまった。

でも、言わずにはいられなかった。

折角洗脳が解けたのに…。

「ルルシー…」

「…どうしても帰るのか。もし、また洗脳されたら…」

「俺だってそれは怖いですけど…」

「ルレイア先輩。ヘールシュミット邸に帰るのは良いが、長居するのはやめた方が良い。定期的に薬物の類を投与されているなら、折角解けた洗脳が、また復活する恐れがある」

ルリシヤが、俺に加勢してくれた。

「この際、ミレド王は無視して、アシミムをぶっ飛ばしたらどうだ?」

「アシミムをぶっ飛ばすって、お前…」

そりゃ俺だって、あいつをぶっ飛ばしたい気持ちは燻ってるけど。

「いや、それも手だぞ。ルレイア先輩が正気に戻った今、ミレド王を殺すメリットはない。余計な危険を冒す必要はない」

「でも…華弦にアシミムの弟を殺してもらわないと…アシミムを無力化出来ないんじゃないのか?」

「それも方法の一つだが、リスクが大き過ぎる。ルレイア先輩が正気に戻った今、もっと楽な…短絡的な方法があるだろう?」

楽な…って。

もっと短絡的な…。

「…それが…アシミムをぶっ飛ばす、ってことか」

「あぁ、そうだ」

ルレイアは今、洗脳が解けている。

このまま洗脳を受けている振りをしてアシミムのもとに戻り。

隙を突いて、アシミムを闇討ちする。

充分可能な案だ。