The previous night of the world revolution4~I.D.~

めそめそしてるルレイアを慰めてから。

「ルレイア先輩、あまり思い出したくないだろうが…。洗脳されているときのことを、聞いても良いか?」

「!ルリシヤ、それは…」

ルレイアにとって、洗脳されているときのことなんて、思い出したくないに違いない。

無理に思い出させて、またルレイアを傷つけたくはなかった。

しかし。

「良いんですよ、ルルシー。必要なことですから…」

「でも…ルレイア…」

「大丈夫。不思議と、もう怖くないんです。船にいたとき、それからヘールシュミット邸でおかしな薬を使われたとき…死ぬほど怖かったんですけど…。自分でも、何であんなに怖かったのか分かりません」

「…それが…洗脳の効果という訳か」

…俺は、自分が情けなかった。

ルレイアがそんな怖い思いをしていたときに、俺と来たら…。

「そんなときに、アシミムが悪夢から救い出してくれて…。それで、あの女が俺の救世主だと思い込んだんでしょうね。全く忌々しい話ですが…」

「そういう薬を使われたんだろう。仕方ないよ」

「そりゃそうですけど…。でも悔しいです。まんまと引っ掛かって」

「…」

ルレイアはルレイアで、自分が情けないようだが。

別に恥じることなんてない。それだけ怖い思いをさせられたのだから。

ルレイアにとって、あの地獄から救い出してくれる人間は…誰でも救世主に思うのだろう。

無理もない。

「洗脳されてからは…ただもう無心に、アシミムの為に働こうと…。ルルシーやルリシヤの顔を見ても、何も思わな…ん…?」

「ん?」

「いや…何とも思ってない訳じゃありませんでした。二人の顔を見ると、妙に胸がざわざわして…」

…そうだったのか。

洗脳されていたときでも…俺達のことを、潜在的に覚えていたんだな。

「どうしても…『アシミムの願いを叶えないと』って強迫観念が頭にあって…。それも洗脳の効果なんでしょうね」

「今はもうないのか?その強迫観念」

「ないです。あの縦ロール、左右で引っ張って頭のてっぺんで結んでやったら、さぞや間抜けだろうなと思ってるくらいで…」

失礼過ぎるだろお前。

それくらいしてやってもバチは当たらないくらいのことを、あいつにやられてるけどさ。

「じゃあ、ヘールシュミット邸に行ってからは…危険な目には遭わなかったんだな?」

「えぇ…。俺も忠実に、アシミムの言うこと聞いてましたしね」

…そうか。

それは良かった。

「成程…。ミレドの暗殺計画は、何処まで進んでる?」

「ルティス帝国の例の毒を使って、毒殺する為に毒を輸入し、それをミレドに盛る計画を立てていたところです」

「ふむ…毒殺か。常套手段だな」

ルティス帝国の毒って言うと…最近裏社会で流行ってる…あの毒か。

ん?ということは。

「洗脳されてルシファーになってるときでも、ルレイアの記憶はあったんだな」

「そうみたいですね…不思議ですけど」

ルシファーは、裏社会で流行ってる毒の情報なんて知らないだろう。

その情報を知ってるのは、ルレイアだけだ。

「つまり…アシミムの味方をする為に、必要ない記憶だけを都合良く忘れさせられたんだな。そして、忘れる必要がない情報は消されなかったと」

「最悪だな…」

今は思い出してくれて、本当に良かった。

折角洗脳が解けたのに、俺達を思い出せないんじゃ、何の意味もないからな。