The previous night of the world revolution4~I.D.~

今度ばかりは。

油断したのは、こちらの方だった。

スタンガンで、完全に無力化したと思っていた。

電圧を絞り過ぎたのだ。ルレイアは、ふらふらしながらも、拳銃を構えて何とか立ち上がった。

「テロリスト風情が…小癪な真似を…」

ルレイアの目には、殺意が宿ったままだった。

油断していた。ルシファーだった頃は、武器と言えば双剣だけで、拳銃を持っていたことはほとんどなかったから…。

何で、今は持ってないと思ったんだ?

「ルレイア…」

「死ね…。死んでしまえ。アシミムさんの、敵…!邪魔者め…!」

ルリシヤは、拳銃で撃たれて床に倒れている。

そして、俺はルレイア相手に…何の抵抗も出来ない。

拳銃を持っているとはいえ、ルレイアはスタンガンで相当ダメージを負っているのだから、戦えば、素手でも勝てるはずだ。

でも俺は、ルレイアを傷つけることは出来なかった。

そんなこと、脳裏を掠めもしなかった。

…ルレイアが俺を撃って殺したいのなら、そうすれば良い。

俺は無抵抗のまま、ルレイアの前に歩いていった。

別に、殺されても構わなかった。

「…お前の手で殺されるのなら、後悔はないよ、ルレイア」

むしろ、何処の馬の骨とも知れない誰かに殺されるより、ずっとマシじゃないか。

「お前を恨んだりもしない。お前が死んで、あの世に来て、正気に戻ったら…また一緒にいよう。今度はずっと、一緒にいよう。待ってるから」

「…」

拳銃を向けているのに、撃ってくれと言わんばかりに構わず前に出る俺に、ルレイアは戸惑っていた。

俺が正気を失ってる、と思っているのかもしれないな。

でも…俺は至って正気だ。

「…死んでも、幽霊になっても…お前を助けるから。何回でも…お前が何処にいても…俺がどうなっても…」

俺は、震えるルレイアを抱き締めた。

…お前が、俺のことを忘れてしまっても。

他の誰かを、救世主と呼ぼうとも。

その手で、殺されてしまったとしても。