The previous night of the world revolution4~I.D.~

…そこからの状況は、一瞬おきに目まぐるしく変化した。

まず、俺がスイッチを押した。

当然、爆弾がドカン、なんてことはなく。

ただ、パンッ!と鋭い音がして、ベッドサイドに置いてあったルリシヤ特製ビックリ箱が開いた。

ビックリ箱の中からは、ルリシヤが好きな『frontier』のギター担当、ベーシュちゃんのチビフィギュア(『frontier』とコラボしたお菓子メーカーの景品)が、ぽこんと飛び出していた。

その間抜け極まりない光景を見て、ルレイアは一瞬動きが止まった。

ルリシヤはその隙を見逃さず、ルレイアの前に飛び出した。

だが、ルレイアを侮ることなかれ。

ルレイアの反射神経と来たら、ルシファーだった頃から、帝国騎士団の隊長連の中でも、オルタンスにさえ勝るほどだった。

そんなルレイアが一瞬隙を晒したからと言って、そんなものは、油断でも何でもない。

即座に爆弾が虚言であったことに気づいたルレイアは、戦意を宿した目でルリシヤに向き直った。

しかも、その距離は…ルレイアの距離だ。

ルリシヤが手を伸ばす前に、ルレイアの双剣が届くことは明白。

こうなった以上、ルレイアは最早、俺達を生け捕りすることにはこだわらないだろう。

だが。

俺達は、アシミムなんかより、ルシードなんかより、ずっとルレイアをよく知っている。

だからこそ。

ルリシヤはルレイアを攻撃する代わりに、緑色のボールをルレイアに向かってぶん投げた。

「!?」

これには、ルレイアも虚を突かれたようで。

爆弾を投げられたのか、それとも閃光弾の類か、と咄嗟に顔を庇った。

しかし、この緑色のボール。

ルリシヤ特製の、フレグランスボールである。

炸裂したボールからは、なんとも爽やかでフローラルな香りが広がった。

まさかこのフローラルな香りが、ただの柔軟剤だとは思わなかったのだろう。

何らかの毒ガスか、と狼狽えるルレイア。

…こんなもん、何の役に立つんだと思ったが。

めちゃくちゃ役に立ってる。

しかしそれでも、ルレイアが隙を晒したのは一瞬だけ。

次の瞬間には、もう体勢を立て直そうとしていた。

さすがは、俺の相棒だ。

だが、これも想定済み。

「ルルシー先輩!」

「あぁ!」

次に、俺は赤いボールをルレイアにぶん投げた。

今度は、死体の振りをしたいときにおすすめの、改造カラーボールである。

ルレイアの身体に、真っ赤な塗料がべったりと付着した。

「…っ!?」

いきなり真っ赤に染まった身体に、さすがのルレイアも狼狽えた。

ルレイアにこういう小細工が有効なのは分かっている。

案の定、ぶっ刺さりである。

体勢を崩したルレイアの前に、ルリシヤの踵が迫った。

「…悪いな、ルレイア先輩。俺達の勝ちだ」

バチンッ!!と激しい音がして。

ルリシヤの両足スタンガンスニーカーが、ルレイアに炸裂した。

何重にもフェイントを入れ、最後にスタンガンでとどめを刺す。

これが、計画の第二段階である。