The previous night of the world revolution4~I.D.~

…悲報。

馬鹿ルレイアのせいで、新婚旅行とやらに行かなくてはならなくなった。

…言っておくが、断じて新婚旅行じゃないからな。

「ねぇ~ルルシー。新婚旅行~。行きましょうよ~」

べたべた引っ付いてくるな。

「何でまたいきなり旅行なんて言い出したんだよ…」

いや、まぁ前々から結婚する云々はほざいてたけどさ…。

「オルタンスがクリスマスプレゼントにくれたんですよ」

「は?」

「ほら、これ。『ホワイト・ドリーム号』二週間の旅、ペアチケット」

ルレイアは嬉しそうに、さっ、とチケットを見せてきた。

…オルタンス。お前のせいか。

ろくでもないもの送ってきやがって…。

「これはもうルルシーと新婚旅行に行けってことだなと思って」

「余計な気遣いをしやがる…。で?ペアチケットなのにルリシヤもついてくるのか?」

「俺は自費参加だ。仲人として、二人の新婚旅行を見届けようと思ってな」

仲人って、そういうことする人だっけ?

単についてきたいだけだろ。

「ねぇ~ルルシ~。新婚旅行~」

「あー、もう…。分かったよ…」

渋々ながら、俺は頷いた。

気は進まなかったが、俺がいくら嫌だと言っても、どうせ当日拉致されるんだろうし。

それならアリューシャの狙撃に怯えるより、自分から行った方がましだ。

「えっ、本当!?来てくれるんですか?」

ルレイアの顔が、パッと明るくなった。

「あぁ。言っとくが新婚旅行ではないからな。ただの旅行だ」

「やったー!ルルシーと新婚旅行!」

人の話を全然聞いてない。

「それと!アシュトーリアさんが許可してくれたら、だからな。アシュトーリアさんが許可してくれなかったら、行かないからな」

「あ、それは大丈夫ですよ。『ルルシーと新婚旅行行ってきます!』って言ったら、『あら良いわねぇ~。行ってらっしゃい』って言ってくれましたし」

「…」

アシュトーリアさん…。あなたは、少しは止めるということをしてくれないだろうか…。

「…で?旅行はいつだ?」

「来週の月曜からですよ」

来週の月曜か。

仕事の方は、ルヴィアが頑張ってくれたこともあって、特に焦る必要はないが。

でも、二週間分の旅行の準備をするには、少々ギリギリだ。

「ったく、こんなギリギリに言いやがって…。準備とか、どうするんだよ」

「大丈夫だルルシー先輩。俺が毎晩ちょっとずつルルシー先輩のスーツケースに、荷物を詰めてるから。ある程度準備は終わってるぞ」

「あぁ、そうでしたね」

ったく気の利く後輩だよ、お前は。

今度来たら警察に通報してやるからな。

「勿論、避妊具と精力増強ドリンクも入れてあるからな。心配要らないぞ」

「心配しかねぇよ、余計なもん入れんな!」

つーか、どや顔で言うな!

すると、ルレイアは。

「大丈夫ですよルルシー。俺も持っていきますから」

「…」

満面の笑みで、そう言った。

…俺、やっぱり行くのやめようかな…。早くも不安過ぎるんだが…。